古今集巻第十六 哀傷歌 856番
題しらず
よみ人しらず
たれ見よと花咲けるらむ白雲のたつのとはやくなりにしものを
題知らず
詠み人知らず
誰に見ろと言って花が咲いたのだろう、白雲が立つ野原のように早くもなってしまったのに
「誰見よと花咲けるらむ白雲の立つ野と早く成りにしものを」
家の主が亡くなり、残された人が、荒れた庭に咲く花を見て、もうこの花を愛でる人はいないのに、と嘆く歌です。
「白雲の立つ野」と雄大な景色で荒れた庭を表現しています。白雲が立つのは火葬の煙を、また野は葬る場所を例えているようです。「立つ」は、あの世へ「発つ」と掛詞です。「早い」のは、庭が荒れることと、亡くなるのが早いという気持ちも入っていると思います。
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