古今集 巻ニ 春歌下 114番
仁和の中将の御息所の家に、歌合せむとてしける時によめる
そせい
をしと思ふ心はいとによられなむちる花ごとにぬきてとどめむ
仁和の中将の御息所の家で、歌合せしようといって、した時に詠んだ歌
素性法師
残念だ、惜しいと思う心が糸に撚れたらいいのになあ、そうなら散る花びらごとにその糸でつらぬいて枝にとめておこう
惜しいと思う気持ちが糸になって、花びらを一枚ずつ枝にとめていくというのは素性法師の粘着質な性格の現れのように思います。和歌を詠む芸術家としては、そういう細やかなこだわりが必要なのだと思います。離れていく女性の心を、自分の思いでつなぎ留めたいという意味でもあるでしょう。普通の貴族であった頃、この人の持つ女性に対する思いも、こういうしつこさみたいなものがあったのかもしれません。
仁和の中将の御息所の家はどこのどなたの家なのかはわからないそうです。
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