古今集巻第十九 雑躰短歌 1005番
冬のながうた
凡河内躬恒
ちはやふる 神無月とや
けさよりは くもりもあへず
初時雨 紅葉とともに
ふるさとの 吉野の山の
山あらしも さむく日ごとに
なりゆけば 玉の緒とけて
こきちらし 霰みだれて
霜こほり いやかたまれる
庭のおもに むらむら見ゆる
冬草の うへに降りしく
白雪の つもりつもりて
あらたまの 年をあまたの
すぐしつるかな
冬の長歌
凡河内躬恒
勇壮な神のいない神無月十月だからか
今朝からは曇りにも耐えられず、
初時雨が紅葉とともに降り
古里の吉野の山の
山嵐も吹いて日ごとに寒く
なってゆく、玉を繋ぐ紐が解けて
散らばるように霰が乱れ飛び、
霜は凍っていよいよ固まった
庭の表面の、あちこちに見える
冬草の上に降り敷いていく
白雪が積もり積もって、
新しい玉の年月も積もり積もって長く
過ごしてしまったものだ
神無月(十月)からは暦の上では冬です。晩秋から初冬にかけては、時雨が降るたびに紅葉が赤や黄色に染まり、さらには茶色になり、散って冬枯れます。葉が落ちて寒々とした風景が遠くまで見えます。霰が乱れ降って、霜が降りて、雪が降り、今年も暮れていく、私も年老いた、と陰鬱な気持ちになっているようです。
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