岩波少年文庫を全部読む。(111)神話と伝説と歌に溢れたミュージカルファンタジー史書 福永武彦『古事記物語』
むかしの史書にはいろんなものが混じってる
福永武彦の『古事記物語』(1957)を読みました。
『古事記』はいまから1300年以上むかし、712年に成立した、上中下3巻からなる史書です。
古代の天地創造から説き起こす史書の例に漏れず、神話や伝説が大量に含まれています。
史書の冒頭ってどうしてもファンタジーになっちゃうんですよね。これは旧約聖書の冒頭に置かれたモーセ五書と同じです。
また歌謡も含まれています。
『古事記』には57577形式の短歌形式以外の和歌もけっこうおさめられていました。登場人物はやたら歌を詠む。史書なのにミュージカル。
旧約聖書だと、歴史部門と詩歌部門は分かれてます。詩歌は『詩篇』『雅歌』にまとまってる(そのほかに預言書や『ヨブ記』などで韻文が用いられます)。
古事記の歌謡はラブソングが多いので、『雅歌』に近い印象があります。
話をする人と字を書く人の分業
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