岩波少年文庫を全部読む。(44)取った。取られた。とにかくマッチョな「漢」たちの世界 斎藤惇夫『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』
じつはスピンオフだった
斎藤惇夫の『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(1972)は、刊行の3年後にアニメ化・ミュージカル化もされたヒット作。岩波少年文庫でも通し番号044から046に並ぶ一連の斎藤惇夫作品の、044番、つまり1番目に位置しています。
しかしこれはじつは、斎藤惇夫の作家デビュー作である前作『グリックの冒険』(1970)の続篇というかスピンオフ作品として書かれたものなのです。
『グリックの冒険』は通し番号では045、つまり『冒険者たち』のつぎに置かれています。これから岩波少年文庫で斎藤惇夫作品を読もうという向きは、どうかご注意ください。ちなみに僕はこのことを知って、『グリックの冒険』を先に読みました。
『冒険者たち』はきわめて娯楽性が高い作品です。そして、『グリックの冒険』を読んでいなくても話の理解には差し支えない。だから「つかみ」にふさわしいと岩波少年文庫編集部が、こちらを先に置こうと判断したのでしょう。
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