岩波少年文庫を全部読む。(70)独身中年理系エリート、学童疎開体験あり。 舟崎克彦『ぽっぺん先生の日曜日』
僕はこういう「中年が主人公の児童文学」って好きですね。
中年が主人公の児童文学
しかも舟崎克彦『ぽっぺん先生の日曜日』(1973。岩波少年文庫)はファンタジーものとはいえ、主人公は、トールキンの『ホビットの冒険』(1937/1951)のビルボ・バギンズみたいな架空の種族ではなく、同時代日本に生きる、浮世離れしたインテリではあるがしょぼくれた独身男なんです。
ぽっぺん先生は独活大学生物科の助教授。
円縁眼鏡に大きな鼻、作者自身がカラー画で描くぽっぺん先生の姿は、どことなくおいでやすこがのこがけん氏を思わせます。
本の世界へ
20世紀の児童文学には書物や絵の世界に入りこんでしまう話はけっこうあります。トラヴァーズの《メアリ・ポピンズ》シリーズ(最初の4作が林容吉訳で岩波少年文庫で読めます)や、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』(1979。上田真而子+佐藤真理子訳、岩波少年文庫)など。
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