岩波少年文庫を全部読む。(45)児童文学における「男のナルシシズム」 斎藤惇夫『グリックの冒険』
斎藤惇夫のデビュー作
『グリックの冒険』(1970)は、福音館書店で編集者をしていた斎藤惇夫の、児童文学者としてのデビューを飾った作品です。
先週取り上げた大ヒット作『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』(岩波少年文庫)は、本書のスピンオフなのでした。
旅立ち
物語はある年の9月、住宅の応接間からはじまります。縞栗鼠のグリックと姉のフラックは、その春に〈鳥屋〉から買われてきて、人間に飼われて暮らしていました。
あるとき、寝室の窓越しに、博識な伝書鳩のピッポーと知り合います。広い世間を見てきたピッポーは、栗鼠が本来は人間の家ではなく北の森に棲んでいることを、グリックに教えます。
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