岩波少年文庫を全部読む。(117)戦争が終わり、だれもが家に帰れますように エリナー・エスティス『すえっ子のルーファス』
エリナー・エスティスの『すえっ子のルーファス』(1943。渡辺茂男訳、岩波少年文庫)は、《モファット姉弟》シリーズとして知られる児童文学の3作目です。
前作『ジェーンはまんなかさん』(1942。渡辺訳、岩波少年文庫)に続き、ニューベリー賞の候補に挙げられました。
第2作である前作では、コネティカットの小さな町クランブリー(クランベリー)で、4人姉弟の3番目として育ったジェーン(ジェイニー)が主人公でしたが、本作では第1作のダブル主人公のもうひとり、末子ルーファスを主人公としてフィーチャーしています。
例によってこの本の各章は、だいたいにおいて1話完結になっています。
「黄色い家」時代の回想からはじまる
本書の年代は前作の続きで、第1次世界大戦末期です。
ただし最初の章(挿話)だけは、第1作の舞台となった借家、通称〈黄色い家〉時代の、開戦前の、たぶん4歳くらいのことです。
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