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岩波少年文庫を全部読む。(118)さよならモファット家、さよならハイスクール。40年後の別れの歌 エリナー・エスティス『モファット博物館』

エリナー・エスティス『モファット博物館』(1983。松野正子訳、岩波少年文庫)は、シングルマザーと4姉弟の家族の日常を物語る《モファットきょうだい》4部作の最終篇です。

長女シルヴィーと長男ジョーイの旅立ちの物語

前作『すえっ子のルーファス』(1943。渡辺茂男訳、岩波少年文庫)の最後で第1次世界大戦が終わりました。
と同時に、前作の最後に、モファット4姉弟の第1子長女シルビー(シルヴィー)とジャック・アボットさんとの結婚の話が進んでいることが、書き添えられていました。

本書『モファット博物館』は、その翌年の物語のようです。1919年ごろの、コネティカット州クランブリー(クランベリー)という架空の小さな町(人口3,000人と10頁に書いてあります)が舞台となっています。
本書では、これまで背景に引っ込んでいた長女シルヴィーと長男ジョーイの旅立ちが、下のふたり、ジェーン(ジェイン、ジェイニー)とルーファスの視点から物語られます。

モファット・ファミリー・ミュージアム

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