『小説列伝』には「訳者解説」がありません。
もうまもなく、『小説列伝』という本が店頭に並びます。
Amazonでは売りません
著者は、ルーマニア出身で米国・フランスで活躍している文学理論家・演劇研究家のトマス・パヴェルです。
水声社という出版社から出ます。
この水声社という出版社は、Amazonでは売らない、というポリシーで会社を運営してらっしゃいます。
(なのに予約ページはある)
Amazonに出ている水声社の本は、基本的には、Amazonマーケットプレイスに出店している業者さんが、しばしばとんでもないプレミアをつけて売っていることがあります。
ですから、みなさんは、この『小説列伝』だけではなく、水声社の本一般に、Amazonではなくて、たとえばHonya Clubなどのウェブ書店、あるいは実店舗を持つ「町の書店さん」で註文されることをおすすめいたします。
『小説列伝』は、僕が訳しました。
QOLが上がりました
この『小説列伝』という本は、タイトルどおり、さまざまな小説をあつかった本です。
欧米小説史を知ることができる、非常に楽しい本なのです。
でも、いわゆるの文学史の本ではありません。
この本を読むと、小説というものがヨーロッパでどんなふうな形で誕生し、そして変化してきたのか、ということがわかる。
と同時に、
「小説ってこういうふうに楽しめばいいんだ」
というヒントがいっぱい詰まった本でもあります。
この本はたしかに、本体価格¥4,500(税込¥4,950円)と、けっして安くない本です。けれども、それ以上の価値のある本です。
なにしろ、この本を読むと、古典と言われているような小説の読みかたがわかってしまう。
「小説の読むときの目のつけどころ」みたいなものが、本書に書かれている。
そこを押さえておくと、本書に取り上げられていない小説でも、かなりいろんなもの(とくに古典と言われているような古い作品)がおもしろく読めることになる。
じっさい、僕はこの本を読むことによって、雑に言うとQOLが爆上がりしてしまいました。
「訳者解説」「訳者あとがき」がありません
この本について、これから、こちらのnoteでときどきお話していこうと思います。
というのも、『小説列伝』は、「訳者あとがき」であるとか、あるいは「訳者解説」といった類のものが、いっさいついていません。
訳者あとがきがないというのは、最近翻訳ノンフィクション本ではよくあることです。
僕は本文と原註と附録を訳して、それでおしまい。
本文中にちょっとだけ訳註を加えただけです。
じっさいに、本だけ読んでも大丈夫な本なんではあるんです。
そうは言っても、
「こんな分厚くて高い本、しかも翻訳書、いきなり手を出すのが不安だ」
というかたもいると思います。また、
「こんな分厚い人文書、読み慣れてないから、どういうふうなスタンスで読めばいいのかわからない」
ていうかたもいらっしゃると思います。
そういうわけで、このnoteで適宜、『小説列伝』の読みかたと、なかで取り上げられてる作品の読みかたを、ちょっとずつ紹介していこうと思います。
早いところでは2024年8月1日には店頭に並ぶと言われている『小説列伝』、ぜひご予約ください。
あるいは大手書店に行って、お買い求めください。
すべてはそれからです。
もちろん、
「もう少しこのnoteの続きを読んでから、買うかどうか決める」
でもけっこうです。
先にお買い求めいただくと、僕としては嬉しい、というだけのことです。
ではまた次回。
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