岩波少年文庫を全部読む。(101)反戦花咲かスタンド使いの哲学的エコファンタジー モーリス・ドリュオン『みどりのゆび』
ウクライナ戦争のいまだから読んでおきたい。
モーリス・ドリュオンの『みどりのゆび』(1957。安東次男訳、岩波少年文庫)は、植物を育てるのが得意な少年を主人公とする、哲学的な反戦エコファンタジー童話です。
〈みどりのおやゆび〉の超能力
ミルポワルの町に生まれたチト(ティストゥ)は母譲りのブロンドの巻き毛が魅力的な少年で、心優しく、悪に染まっていません(うわー、フランスの児童文学って感じ)。だれもが彼のことを大好きです。
しかも彼の家は裕福です。両親と使用人のカロルス、仔馬のジムナスティクとともに、豊かな生活環境で育ちました。
ところがこの少年は学校に退屈を覚え、どうしてもなじめません。先生は、少年が非常に変わり者で成績が悪いので、罰を与え、とうとう親もとに返してしまいます。
そこで両親は学校以外の教育方法をとることにします。
庭で教育を受けることになったとき、庭師のムスターシュ(〈ひげさん〉)は、少年の超能力的パワーに気づきます。
なんと少年は、どんな種でもたちどころに成長させることができるのでした。彼は〈みどりのおやゆび〉の持ち主だったのです。
庭師はそれを秘密にするよう少年に忠告します。
花咲か少年、能力発動
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