バランスの維持と逃避と破壊

おはようございます!

本日の記事は本題からは少し離れた雑談的な内容になります。


最近かなり興味深いマンガを読みました。

僕の実家には怪物たちが住んでいる。

29歳、夏。
会社から長めの休みをもらった
僕は、久しぶりに実家に帰省した。

住んでいたのは父母、姉、
そして35歳、無業無言の兄だった…。

これは変な家族なのか?
それとも家族は変なのか?
新ホームドラマ、登場!

Amazon商品ページより引用

ぱっと見はよくある狂った登場人物が過激なことをやる系の、一回見ればもう二度と読み返さない系のネットマンガかなと思っていたのですが、興味本位で2巻3巻と読み進めていくと、この漫画の奥深くには「人生のエグイ本質」みたい要素が潜んでいるとてつもない作品だったのです

なんというか、同人AV制作者として生きている自分の人生と重ね合わせてしまって非常に複雑な気持ちにさせられてしまいまいした

※この漫画はぜひ物語の展開も含めて読んで欲しいと思っているので極力ネタバレしない範囲で話を進めていきますが、何となく先の展開を匂わせるような書き方をしているので、前情報何も無しでマンガを楽しみたい方は先にマンガを読まれることをお勧めします。

終わっているようで終わっていない家族の形

この漫画ではとある家族の関係性が中心描かれるのですが、あえて一言で表現するなら「機能不全家族の物語」です。

機能不全家族…家庭内のコミュニケーションがうまくいかず、家族が健康的に機能していない状態

父と兄は明らかに問題ありの人物として描かれているし、他の家族もちょっとずつ「不具合」が見られる。もし現実にこういう家族がいたとして、端から見たら誰も近寄りたくないような類の「終わっている家族」です。

しかしドロドロと家族崩壊の様が描かれるみたいな様子はなく、なんならほのぼのとして場面すら描かれているという非常にいびつなストーリー展開となっています。

35歳無職引きこもりの兄は社会的には終わっているもののちょっとは親のこと考えて行動している節を見せていたり、

DV気質丸出しの父親も母親の介護には献身的に取り組んでいたり、

半身不随で半寝たきりの母親は非常に明るい性格で毎日前向きに楽しそうに生きている様子が描かれていたり、

唯一健全な姉は機能不全に陥っている部分を意に介さず家族間の橋渡し的役割を積極的に担っているし、

次男の末吉は家族に対してあまり良い気持ちは抱いていないものの東京での一人暮らしでの孤独に耐えかねた逃げ道として家族と一緒に過ごすことを選択しているし、

みんな個人として家から離れるという選択肢は取らず、何かしら「家族という絆」みたいところに立ち返る行動を取ります。

機能不全家族であることは確実なんだけど、表面上は機能を果たしているように見えるし、家族全員が機能の一部を担おうと行動しているんです

人生は絶妙なバランスで成り立っているだけでいとも簡単に崩れ去るとても脆いものであると気付かされる

1、2巻はそんないびつな機能不全家族の各々の人物の深掘りと、ちょっとした人間関係の機微や進展を描くショートドラマ的な感じで進んでいくんですが、3巻あたりから話が急激に重くなっていきます。

今まで隠されていたとんでもない事実の発覚と、とある人物のぶっ飛んだ行動により、一応は平穏に過ごしていた家族が危機的状況に追い込まれていきます。

ここで読者は当たり前の事実に気付かされます。

ああ、結局この家族って「終わってる」んだな。今まではたまたま偶然奇跡的なバランスで上手く行っていただけで、本当はいつ崩れてもおかしくなかったんだ

4巻5巻と進んでくたびに物語のエグさが際立って行きます。どう考えても終焉にしか向かわない絶望感しか感じない展開に読んでいるこちらの精神も徐々に削られていきます。


この漫画には3種類の人物が登場します。

①円満な関係を保とうと必死にバランスを取る人物
②既にバランス崩れてバラバラになっていることを察しながらもその現実から目を背けてあたかも問題がないかのようにふるまい続ける人物
③自分の行動や発言次第で関係性をぶち壊せることを自覚してどうやって最悪の形で壊してやろうかほくそえみながら計画している人物

僕はこの3種類の人物の存在を知った時、「同人AV制作に携わる人そのものじゃん」という思いを抱かずにはいられませんでした。

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たった一人で同人AV(個人撮影AV)事業に挑戦している珍貝マコトの考えていることや制作の裏側を知れる…

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