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書店を経済産業省が支援?

全国で少なくなっていく書店。そこで、通産省が支援という記事が。

全国で減少 書店が抱える経営課題をまとめ 支援検討へ 経産省

ネット通販や電子書籍の普及などを背景に全国で書店が減少する中、経済産業省は、書店が抱える経営課題をレポートにまとめました。ネット通販ではポイント還元などで実質的に値引きが行われ、競争条件が平等でないといった見方も紹介していて、今後、書店に対しどのような支援ができるか検討することにしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241004/k10014600281000.html


①人口1万人がライン

1980年代には全国に2万5000店を超えていた書店数は、2024年3月時点で1万918店と、半分以下にまで減少しています。また全国1741市区町村のうち、書店がない自治体は482市町村で、27.7%にもなるとか。書店が1店舗しかない自治体も併せると、47.4%に達しているとか。そういう意味で書店文化は、人口の多い都市部の文化になりつつあるようです。

この482市町村という数字、単純計算で全国の市町村の人口ランキング、1259位が福島県伊達郡の国見町で、8043人です。おそらくは、人口1万人以下の地域は、書店がない可能性があります(人口密度とか、要因は多数あるのであくまでも単純計算です)。

書店がないか1店舗しかない自治体の47.4%は、人口数が下位916自治体と仮定すると、825位は山形県長井市の2万5276人。もっとも、長井市には古書店も含めて、4店の書店があります。やはり、人口1万人ぐらいの自治体が、書店がなくなるラインでしょうか?

②映画館の衰退と復活

これは、映画も同じですね。日本の映画館観客数が最も多かったのは1958年(昭和33)で、延べ11億2745万人が映画を観たそうです。映画館数は7000館を超えていましたが、1960年の7457館をピークに減少。
1993年に戦後最低の1734スクリーンまで減少しましたが、2023年のスクリーン数は3682スクリーンで映画館数は592館と、増加傾向です。書店も、似た道をたどるような気がします。

映画上映の現状 http://jc3.jp/wp/wp-content/uploads/2016/05/current_state_of_screening2015.pdf

映画館は、上映館数が少なくなりましたが、シネコンの増加で1館あたりのスクリーン数は増えて、昔ながらの1スクリーンや2スクリーンの映画館は、減っていってるということでしょう。

書店も同じように、全国に2500店舗ぐらいにまでいったん減って、その代わり大型化する形ですかねぇ。でも、それは県庁所在地や、5万人以上の人口があるような地域でしょうね。

③官僚主導政策の不安

日本の官僚は、現状維持は考えても、新しい時代にあった仕組みを考えるのは、苦手ですからね。
インターネット黎明期、お国はISDN(Integrated Services Digital Network)という方式を推奨したのですが、64kbpsの回線速度。その後にADSLが出て、いったんはISDN用に電話線を工事した人が、また戻す羽目に。

秀才ではあっても、天才でもなければクリエイターでもない官僚に、時代の変化に柔軟に対応するのは難しく。なので、この経済産業省の対応も、かえってゾンビ企業を延命するだけに終わりそうな気がします。
こんなポストも、見かけました。

果たして書店が抱える経営課題は一時的な支援で立ち直るのでしょうか。まさかずっと支援する前提ではないですよね。

全国で減少 書店が抱える経営課題をまとめ 支援検討へ 経産省 | NHK

https://x.com/yukarimurakami5/status/1842503228870553966

では、このまま書店文化は地方から滅びてしまって良いのか? 本好きとしては、それもまた肯んぜません。

④建設的な提案として

では、どうするか? 人口5000人ぐらいの市町村をGoogleマップで検索すると、公立の図書館は、1~2箇所はあるんですよね。
加えて、小学校と中学校ぐらいは、普通にあるんですよね。

つまり、そのような公立図書館や地区の小中学校の図書館に、書店がない地域に限定してですが、書店の機能の一部をもたせる――というのはひとつの対処法かと。

書店のような閲覧は無理でも、本の取り寄せ機能を公立の図書館が代行して一般の市民は利用し、小中学生は学校で注文する。
Amazonほど迅速ではないでしょうけれども、流通的には地域の拠点になるでしょう。

⑤鍵は電子書籍の推進

併せて、出版社のデジタル化の援助、こっちのほうが重要かもです。
書店はもう、人口1万人に1店舗ぐらいの、都市の文化になるので、電子書籍化に力を入れる――地方民を救うには、これしかないでしょう。

電子書籍なら、在庫切れはないですし。僻地や離島でも、通信環境さえあれば、購入できますから。
そして、デジタル化が進むと逆に、電子書籍版とプリント・オン・デマンド版(POD)の2種類の、出版が可能になりますから。Amazonでは既に、対応し始めていますから。

そして、デジタル化の援助をする代わりに、書籍には必ず、本文全体の20%以上の分量の、無料おためし版も用意する。これで、少なくとも出版文化のある部分は、守れると思うのです。
最終的には、公立図書館に、POD版に対応した出力用プリンターがあれば、さらに良さげ。

この点に関しては、稿を改めて書いてみようと思います。


以下は諸々、個人的なお知らせです。読み飛ばしていただいても構いません。

筆者の小説(電子書籍版)でございます。お買い上げいただければうれしゅうございます。

文章読本……っぽいものです。POD版もあります。

筆者がカバーデザイン(装幀)を担当した、叶精作先生の画集です。POD版もあります。
投げ銭も、お気に入りましたらどうぞ。


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