地域活性化論#2 社会課題解決も結果にコミットする時代だ。社会にいいことをして稼ぐ仕組みとは。ー理論編ー
「事業を通して社会課題を解決する」
「活動を安定して続けるために、お金が回る仕組みをつくる」
経済的利益を目指してきた企業は社会的利益も大事にするように、社会的利益を目指してきた行政や地域団体、NPOなどはより収益性や効果も大事にするようにシフトしてきたように感じる。
また、より社会的価値の高い事業に投資したい人や事業者も増えてきている。
でも、事業が社会に与える影響ってどうやってはかるんだろうか。
社会的インパクト評価とは
そこで、事業が社会や環境にどんな影響を与えたかを定量的・定性的に把握し、事業の価値判断をする「社会的インパクト評価」が生まれ、注目を集めている。
これはけっこうすごいこと。社会的インパクト評価のおかげでふわっとした「社会にとっていい活動」の結果や成果がちゃんと見える化され、伝えられるようになる。改善に向けて仲間と具体的な話をしていけるようになるし、外に向けて説得力を持って伝え、応援してくれる人や資源が集まりやすくなる。
この記事では、社会的インパクト評価の最初のステップとして事業の全体像を描き目標と結びつけるフレームをまとめていく。
事業の全体像を描き、目標とつなげるロジックモデル
社会的インパクト評価は、活動内容がどのように目標達成につながっていくか、一段ずつ足場をかけて全体像を描くことから始める。それをロジックモデルという。つまり、「AをしたらBになるだろう」という仮説のもと、それを成すのに必要な要素を全部つなげてストーリーにしたものだ。
ロジックモデルは、資源→活動→結果→成果の4つのブロックからなる。成果は初期、中期、長期と三段階に分けることが多いので、以下のような6個のブロックの流れができる。
※この記事の図表の出典はすべてこちら:内閣府委託「社会的インパクト評価の普及促進に係る調査」(PwCあらた有限責任監査法人)
ロジックモデルの作り方
では、やっている活動やアイディアをどうやってロジックモデルに落とし込んでいくんだろうか。4つのステップで進めていく。
①目標とターゲットを決める
「誰のために?何のために?」
②成果を決める
「どうなったら目標達成?」
③そのための結果、活動、資源は?
※成果から資源にさかのぼって考える
④最終チェック
重複やムダはないか?実現可能か?各要素が論理的につながっているか?
え、成果と結果って何が違うの?と思ったかもしれない。
結果は活動が直接生み出すものなのに対して、成果はそれによって生まれる変化や価値のことをさす。例えば、ダイエットという活動の結果が5キロやせることだとする。その成果は、入らなかったジーパンが入るようになる、ポジティブに過ごせる、運動習慣がつくことだったりする。
ロジックモデルをつくるときのポイントは、長期的な成果から逆算(バックキャスト)することだ。
望ましい未来を描いてそのための現在の行動にまで落とし込んでいく。けっこう難しいことだと思う。これができたらかなり事業の曖昧な部分やムダに気づけたり、組織のメンバー内で方向性のすり合わせができたり、コミュニケーションの機会が増えたりしそうだ。
そして、ロジックモデルができあがったら、定期的に見直しをすることも大事だ。せっかく長い時間をかけてまとめたから手を加えたくないかもしれないが、ロジックモデルはあくまでも「仮説」なので、事業を進めながら見直しをしていくことだ。この仮説が正しいかどうかを、実施して検証するという意味で、社会的インパクト評価なので。
ここまで、社会課題解決にコミットする準備としてのプログラム立案のフレーム「ロジックモデル」を紹介した。
次は、これをどうやって事業として実践していくかだ。続きは実践編にて!