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下駄を履く

6月から異常な猛暑が続いています。今年の夏は長くなりそうですね。夏と言えば、浴衣。とはいえ、ここ数年は、暑さとコロナ生活で、浴衣を着る機会もほとんどなくなりましたが、今年は衣替えの時に、浴衣と下駄を用意しました。押し入れに眠らせておくのは少し寂しいし。用意するだけでも、涼やかな気持ちになります。

浴衣と言えば下駄ですね。最近は浴衣に日常で履いているサンダルやスニーカーサンダルを履かれている方も多く見受けられます。みんなで履いちゃえば、ファッションとなりOKとなってしまうのでしょうけれど、やっぱり浴衣には下駄を履いてほしい。日本の下駄は、日本の文化であり、知れば知るほど魅力的なので、後世に残していきたいと思うものです。

私にはお気に入りの3つの下駄があります。ひとつは桐の舟形下駄。草履のような形の下駄で、着物のときに合わせても良いということで、奮発して買いました。台座と鼻緒をカスタマイズして作ったお気に入りです。でもまだ1、2度しか履いていません。なかなか履いていく機会に恵まれておりませんが、自然素材の温かみと職人の手の込んだ作りは鑑賞にも値するので、時々手にしては自己満足の時間に浸っています。

2足目は、台座が真っ黒で赤い鼻緒がついた少しモード感のある右近下駄です。洋装にも合い、鼻緒も柔らかく軽くて歩きやすく、滑り止めとしてゴムもついているので、いちばん出番があります。ワンピースやデニムにも合わせてはいていますが、入ったお店の店員さんにかっこいいと褒められたりします。そうなんです。下駄ってかっこいいんです。

そして、3足目は、友人の亡くなったお母さんがお持ちになっていた鎌倉彫が施されている駒下駄。友人はサイズが合わないからと、譲ってくれました。台座が固く、鼻緒も昔ながらの堅めのものが据えられています。そして、下駄らしい王道の二枚歯なので上手に履くには少しコツがいります。

このコツというのが本来の下駄の履き方ですが、普段履いている靴の意識を変えないと履くことはできません。時に足を入れるだけで痛いときがあります。そんなときは足指が開かなかったり、足指の間のリンパの流れが悪くなっていたり、むくんでいたりするのでしょう。だからこそ、自分の健康のバロメーターにもなり、心して、ていねいに履くという気持ちにさせてもらえるので、大切にしています。

下駄を履くと、足指がしっかり晒(さら)されるので、履くときには軽く足をマッサージして、ていねいに爪を切って、ときにはフットネイルで足爪をきれいに彩ります。足指先に神経を使うようになるのも良い習慣になっていると思います。
 

下駄と美人

下駄は、戦前までは日常的な履物でした。裸足で履くものなので、足に意識がいき、汚れたら足を拭いたり洗ったりと、きれいにしておく習慣があったので、足は清潔に保たれていたため、足の臭いや水虫のトラブルなどもなく、また足指が締め付けられないため、外反母趾になることもありませんでした。足の機能をしっかり使うことができたため、健康にもとてもよかったのです。つまり今のような足のケアなどしなくても下駄を履くだけでも十分ケアの役目を果たしていたのです。

下駄は、鼻緒をはさんで履きます。足の親指と人差し指でぎゅっと挟んで履きます。ビーチサンダルのようにひっかけるというよりは、しっかり挟まないとうまく歩けません。ぎゅっと挟み込むことで足の内側の筋肉に働きかけ、足全体の筋肉に働きかけます。

江戸時代、江戸っ子は、スタイルのいい小粋な美人を「小股が切れ上がった」という言葉で表現していました。小股が切れ上がったいい女といえば、魅力的な女性のことを言い、女性をほめる言葉でした。

この「小股」がどこを指すのかは諸説あります。いわゆる「小股」ということで股のあたり。または、着物が着崩れたときに見える膝や太ももに色気を感じるということからそのあたりを指したり、もしくは、足首が細く、程よい筋肉質で引き締まった足は、足の先までキリッとスキのない感じに見えることに魅力を感じるということで、足首あたりという説もあります。そのほかにも「うなじ」や「切れ長の目」という説もあり、決して「小股」ということで「股」にこだわった言葉ではないようです。

しかし、小股とは両端の開きが狭いこと、股をちょっと動かすことが本来の言葉です。小股の切れ上がった素敵な女性とは、何気ない小さな動作、上品な仕草、凛とした立ち居振る舞いをする人を指したように思います。

少し話がそれましたが、下駄を上手に履くと、いわゆる足全体を使うので、足に程よく筋肉がつき、足さばきが美しく粋な女性に見えるということにつながります。諸説はあれど下駄を履くことで足の筋肉を刺激し、美脚効果があったことは間違いなさそうです。

私が履いていて思うことは、普段の靴を履くときと同じ感覚では履けません。すぐに足が疲れたり、足にまめができたりします。親指と人差し指で挟んで履くという意識を持つと、少し重心が前になり、歩きやすくなります。靴の時に使わなかった筋肉を使っていることがよくわかります。

鼻緒を挟む力が強くなるほど、足全体を使っている感じになり、下駄を履くだけでエクササイズになります。靴の時には無意識になってしまった足指の先まで意識が行き届く感じです。そうすると足のサイズよりも小さくても問題ないのです。草履や下駄選びをするときには、かかとが出るくらい小さ目のサイズを選ぶ方が通だと言います。これも和の美意識ですが、玄関先に脱いだ時に小さい草履や下駄のほうが、上品で可愛らしいからということです。

でも重心が前になることで、かかとは少し浮く感じになるので、かかと全部を台座に乗せることはしなくてもいいので、小さ目でも問題ないのです。履くだけで足全体の筋肉を使い、それで歩けば全身に作用するので、下駄を履くことはエクササイズにもなります。

和文化を見直すと、健康観に通ずることがみつかるので、それもまた魅かれるひとつです。


下駄もしくは草履を履いてみよう

子どもたちの夏の履物も、今はビーチサンダルを履いている子どもはほとんど見ません。足を覆うサンダルがメインになっていますね。でも偏平足やO脚などのトラブルが出る前に草履か下駄を履いてみるのもいいと思います。最初は慣れていないと、まめができるかもしれませんが、徐々にコツをつかむと、姿勢が良くなったり、足に力が入るようになったりと変化が感じ取られると思います。

また、上級者になれば下駄を履いて走ることもできるようになると思いますが、下駄を履くと、自然にゆっくりと歩くようになるので時間の進み方がかわります。これも和のマジックですね。

下駄もさまざまな種類があります。男性もの、女性ものでも変わります。子ども用は、軽く、履きやすくなっていて、鈴がついていたりするので、カランコロンと下駄の音と涼やかな鈴の音にノスタルジーな気分になります。

下駄は、伝統工芸でもあり地域により様々なものもあるようです。下駄に興味をもってからは浴衣よりも履物についつい目が行くようになりました。下駄を美しく履いている女性や、勇ましく履いている男性をみると素敵だなと感じます。

ちなみに我が息子は、和装が好きで一人で浴衣を着てサクッとでかけることがあります。もちろん下駄で。最初は絆創膏をたくさんつけて帰ってきていましたが、少しずつ慣れてくると絆創膏の数も減り、上手に下駄を履いています。下駄を履きこなすかっこいい大人になってくれることを願うばかりです。

そうそう、絵本に出てくる天狗様も赤い一本歯下駄を履かれていますね。実際に一本歯下駄を履いて歩いている人は見たことはありませんが・・・。
ぜひ、この夏は親子で下駄を履いて、カランコロンと下駄の音を響かせながら、夕涼みをするのも良いかもしれませんね。


チャイルドケア共育協会 本部講師 松本美佳

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