私の知らないインターネット
インターネットの思い出
世界中の人と心だけでつながれる場所
別の世界にもう1人の自分として存在できる
アンダーグラウンド ひみつの隠れ家
そこにあるのは夢と希望
地球の上のお互いの顔も名前も何も知らない人たちが
年齢、性別、国籍、言語など超越してつながる
文通するみたいに
作ったものを世界中に届けられる不思議な場所
HTMLでホームページを作って
Midiファイルの音楽を作ってみたり
マウスで描いた絵をプレゼントした
家に居場所がなくても大丈夫
ここでは別の名前で別の自分として存在できる
こっちが本物の私だ
まるで私はゲームやアニメのキャラクター
夢のワンダーランド
もちろん現実世界の学校のお友だちも
ハンドルネームを持って別の人として存在していた
「ちくわミエル」は私のハンドルネーム
現実世界では芸術と無縁だった
インターネットが無ければ 私は存在しなかったし
あなたに出会えることもなかったのです
完全に切り離されていた インターネットと現実世界
いつからか輪郭が分からなくなった
常時接続が当たり前になり スマホが登場し
多くの人がインターネットにつながっていることを
自覚しない世界になった
たくさんの人がこの世界に来て 情報の波に飲まれた
mixiやFacebookが出来始めた頃から
少しずつ違和感があった
全てが数値化され何もかも可視化されるようになった
監視されているような気がした
TwitterなどSNSが主流になりますます居づらくなった
今のように自分の顔を載せて
何を食べたとか 誰と遊んだとか
リアル世界の個人情報をさらけ出したり
人と人が傷つけ合うようなこともなかった
私の知っているインターネットじゃない
活動を続けるためにSNSでの情報発信が不可欠で
自分の日常を切り売りするようになり
知らないうちにSNSに憑りつかれ ゾンビになる
はじめから境界線なんてなかったのかな
これだけ輪郭のなくなった世界は 現実世界にある
一つの村や地域くらいの感覚でいるのがちょうどいい
合わないと感じていても 楽しみ方を変えるようにした
見る時間を少なくする、好きな情報を選んで見る
VR、Vtuberの世界には私の愛したインターネットの世界がある
その幸せな世界も少しずつ人口過多 飽和状態
インターネットはかつて居場所のない私の楽園だった
現実逃避先としてのインターネットがなくなったように
「インターネットなんかやめて現実に戻れ」
というメッセージがあるとしたら
中身のない時代遅れの言葉で 戻るべき現実などもうないのです
どうせどこにも居場所なんてないのなら
現実世界 インターネット その言葉にとらわれないで
心穏やかに過ごせる居場所 優しい世界を自分で作ろう
新しいこと学びたい気持ち、作品を届けたい想いは
変わらないからここにいる