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【第92回】岡山県津山市城西地区の地区防災計画とコロナ禍での防災活動

質問 岡山県津山市城西地区の地区防災計画とコロナ禍での防災活動について教えてください。

概要

 ①9月17日のシンポジウムで磯打千雅子香川大学准教授が紹介
 ②津山市城西地区の地区防災計画づくり
 ③コロナ禍での防災活動
 ④シンポジウムの詳細は地区防災計画学会誌第25号(11月発刊予定)掲載

解説

①9月17日のシンポジウムで磯打千雅子先生が紹介

 2022年9月17日(土)の地区防災計画学会シンポジウム「コロナ禍におけるコミュニティの複合災害」では、磯打千雅子香川大学准教授から、「極端な社会環境の変化に適応する―岡山県津山市城西地区の取り組み―」と題して報告がありました。
 磯打先生が支援されてきた同地区の地区防災計画づくりの取組は、注目されています。
 防災活動をはじめとするコミュニティの地域活動は、一般に対面活動が中心になりますので、コロナ禍では、コミュニティでの防災訓練や近隣住民による助け合い活動が多数中止になりました。
 しかし、城西地区は、このようなコロナ禍という極端な社会環境の変化にも対応し、防災活動をはじめとする地域活動を継続してきました。
 以下、磯打先生の説明を踏まえ、概略を紹介します。

②津山市城西地区の地区防災計画づくり

 津山市は、防災に熱心に取り組まれている市であり、自主防災組織の組織率が100%になっています。
 そして、ここで取り上げる津山市の城西地区は、桜の名所として有名な津山城の西側に位置しており、人口約5,000人・約2,000世帯で、高齢化率が約35%です。
 住民が主体となった「まちづくり協議会」が中心となって、地域特性をいかしたまちづくりを進めており、2018年には、内閣府の地区防災計画のモデル地区に選定されました。そして、これを契機として、災害対策のための研修や訓練を続けてきました。
 2018年の西日本豪雨後に、地区防災計画書を作成する機運が高まっていき、2020年1月に岡山県初の地区防災計画を策定しました。

津山市城西地区防災計画(令和2年1月)

③コロナ禍での防災活動

 コロナ禍では、2020年11月に予定されていた防災訓練(避難所運営訓練)を実施すべきかどうか検討が行われました。
 この訓練は、地区の住民が毎年積み重ねてきた大切なイベントでした。そのため、住民たちは、感染リスクの低い実施方法を考え、最終的には、工夫をしてなんとか訓練を実施しました。
 例えば、密にならないように人の動きを一歩通行にしたり、屋外に距離をとって展示ブースを設置したり、参加者各々の都合で集合できるようにする等の方法により、コロナ禍にもかかわらず、例年を上回る住民が訓練に参加しました。そして、同様の方法で、2021年度も継続して訓練が実施されました。
 一般に、文書化というと、画一化や形骸化の弊害が指摘されたりもしますが、城西地区では、地区防災計画を文書化していたおかげで、住民同士で防災活動のルールやノウハウが引き継がれ、蓄積されていました。
 そのため、コロナ禍のような極端な社会変化が発生している状況でも、城西地区では、防災訓練をはじめとする防災活動を継続することができました。

④シンポジウムの詳細は地区防災計画学会誌第25号(11月発刊予定)掲載

 シンポジウムでは、磯打先生をはじめとするシンポジスト5人の報告を受けて、パネルディスカッションが開催され、活発な議論が行われました。
 ここでは紹介できませんが、その模様は、地区防災計画学会誌第25号(11月発刊予定)に印象記として掲載される予定です。
 地区防災計画学会誌を入手御希望の方は、下記記事を御覧ください。

 なお、シンポジウムの基礎資料にも関係資料が掲載されています。学会誌と同様の方法で購入できます。こちらも、ぜひ御覧ください(増刷中です。)。

文献
・磯打千雅子,2022,「極端な社会環境の変化に適応する―岡山県津山市城西地区の取り組み―」『地区防災計画学会第40回研究会基礎資料』: 15.

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