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#03地方で心理的安全性を作るには①
ここまでの記事で心理的安全性がテクニックや短期的に作られるものではないことがご理解いただけたのではないでしょうか?
過去記事(#01 地方にも必要な「心理的安全性」とは・#02 地方での非心理的安全性がもたらすもの)
今回はどのように心理的安全性を作るのかについて「恐れのない組織」と「心理的安全性のつくりかた」から参考になる方法を見ていきたいと思います。一部書籍まとめ記事のようになるかもしれませんが、僕たちが地方でもっとおもしろく働くための一助になると思いますのでぜひ。
エイミー・C・エドモンドソンの著書「恐れのない組織」の中では、恐れのない組織を作るためのリーダーシップのツールキットとして、「土台をつくる」「参加を求める」「生産的に対応する」の3点について書かれています。それぞれ、僕が重要だと思った箇所について記載したいと思います。
「土台を作る」
土台を作るというのは、心理的安全性が高くなるような環境を作るということです。心理的安全性はテクニックや短期的な活動ではありません。失敗や不確実性、助け合いを当たり前とした環境を作ることです。
「恐れのない組織」の中では、2つの方法が記載されています。
・仕事をリフレーミングする
フレームとは思い込みのことであり、思い込みを再構築することが必要です。土台をつくっているのは思い込みです。例えば、「失敗は悪いことだ」や「やっても無駄だ」や「ミスは能力不足のせいだ」など、組織の中で無意識のうちに思い込んでいることはないでしょうか?
本書ではコミュニケーションで使われる言葉を変えることを提案した医療事故を例に挙げています。まず、事故は起きていることを認識し、発生した場合には「(事故)を調査する」から「研究する」という言葉を使うようにする。このようにちょっとしたことですが重要なことで意識を変える工夫をすることが大事です。
・目的を際立たせる
本来の目的はなんなのか?を再認識することが重要になります。先の医療事故を例にすると本来の目的は「患者の安全を100%にするという目標が一刻も早く達成するべきだ」ということです。僕たちは、よく手段の目的化をしてしまうことがあります。医療事故の例で言うと、医師の言うことに従うことは手段であり目的ではありません。医療事故を起こさないことを目的として、医師に従い、必要であれば意見を述べることも重要なはずです。
「参加を求める」
リーダーシップに必要なツールキットの2つ目に、素直に意見を言わずにはいられなくなる方法で参加を求めることです。その中でも、状況的謙虚さはわかっているのに、なかなか難しい行動の一つではないでしょうか?
・状況的謙虚さ
多くの人が経験することですが、自分の言っていることが全て正しいと思っている人に対立する意見を述べることは、非常に難しいことです。
本書では状況的謙虚さを説明するリーダーシップとして、インクルーシブ(包括的)・リーダーシップが心理的安全性を高めている要因であると述べています。インクルーシブ・リーダーシップには特徴が3つあり、一つ目は、リーダーは気さくて話しやすい。二つ目は、リーダーは自分が完璧ではなくミスをする人間であることを認識している。三つ目は、リーダーはほかのスタッフから、彼らが発言しやすいように意見を求める。です。
積極的な参加を求めているのであれば、状況的謙虚さ(インクルーシブ・リーダーシップ)が非常に重要なことは感覚的にも理解しやすいのではないでしょうか?
生産的に対応する
素直な発言に対して生産的に対応することも非常に重要です。土台がつくれて、積極的な参加が起きていても、率直な発言に対する対応を誤れば、心理的安全性は低くなります。
・失敗を恥ずかしいものではないとする
ここまで読んだ方なら解ると思いますが、失敗が発生した時に責められると心理的安全性は下がり、結果として多くの失敗が報告されず、学習されないという事態が起きます。
賢く失敗するためには、同様の失敗が起きないよう、報告し、支援や原因の解明を求め、改善のアイディアを提供し続けることが重要になります。
そのためには、失敗に対して「失敗は需要できない」から「試みに失敗はつきものである」と言う考え方に変える必要があります。
この他にも、様々な事例を用いて、リーダーシップのツールキットに解説があります。気になる方はぜひ読んでみてください。
次回は「心理的安全性のつくりかた」から、より具体的な行動を変えるスキルについて書こうとと思います。