代替肉ついて、あるいは”環境にやさしい”ことの押し出し方について
今週の「カンブリア宮殿」で衝撃だったのは、不二製油が、60年もの間、大豆ミート事業に(赤字を垂れ流しながら)取り組み続けていた、ということだ。普通の感覚を持った経営者であれば、数十年間続けても黒字化できない事業であれば、撤退してしまうだろう。しかし、創業以来の事業だから、と、信念を持ってやり続けた結果、ついに時代が大豆ミートを求め、事業を飛躍させることができたのだ。今回は、そんな大豆ミートをはじめとした、「代替肉」の市場について、考えていく。
畜産業と環境危機
2010年に入ったあたりから少しずつ「SDGs」が社会に浸透し始め、人々の間でも「サステイナビリティ(=持続可能性)」が意識されるようになってきた。例えば地球環境、特に温暖化の文脈では、グレタ氏のスピーチは―彼女の主張はさておき―大きな話題として取り上げられた。ユニクロがリサイクル可能なダウンジャケットを始めたり、”環境に配慮している”ことを商品選択の基準にする消費者が増えるなど、変化が見え始めている。
「畜産業」と地球環境は、すぐには結び付けづらいかもしれない。調べた範囲では、畜産業は地球環境に対して、大きく分けると、3つの悪影響をもたらしているようだ。
①放牧を目的とした森林伐採
②家畜の消化器系から放出されるメタンガスによる地球温暖化
③家畜の糞尿等による水質汚染
日本国内においては③が取り上げられがちだが、世界的には、①や②のほうがよく取り上げられているようである。畜産業が環境に悪影響を与えていることに加え、人口増加に伴って食肉の需要が増加したら、さらに環境に悪影響を与えることになる-このような背景から生まれた「肉は食べたいけど、今の畜産業ではサステイナブルでない!どうにかしないと!」という危機感によって、「肉を畜産以外の方法で生産できないか?」という「代替肉」の市場が生まれた。
"植物由来の肉"と”培養肉”
肉を生産する「畜産以外の方法」とは、大きく分けると「植物から肉を生み出す方法」と、「細胞を培養することで肉を生み出す方法」の2つに分かれる。前者は「植物由来の肉」と言われる一方で、後者は「培養肉」と言われている。後者については未だ試験段階の様で、市場に出回っているのはもっぱら「植物由来の肉」であり、その大半が大豆で占められている。これはおそらくだが、日本において大豆の食用消費が一般的であることも、大豆ミートが大半を占めていることに影響しているのではないだろうか?
大豆肉を選ぶ消費者の心理
そんな大豆肉だが、消費者にはどのように受け入れられているのだろうか?ジャストシステムが2020年9月に実施した消費者調査を見てみよう。
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