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D・アーカー『ブランド論』の概要をまとめてみた(後編)
先週に引き続いて、D・アーカー『ブランド論』の概要をまとめてみる。前編をまだお読みでない方は、ぜひ前編から読んでいただきたい。
スイートスポットと自社ブランドを結びつける
スイートスポットとは、何であれ顧客にとって大切であり、顧客を巻き込むものに関係した、それについて話したい、と顧客に思わせるもののことである。自社ブランドとスイートスポットを結びつけることで、顧客との関係性を構築することができる。結び付けに成功すれば、下記のようなメリットを得られる。
●ブランドに大いなる目標をふかし、ブランドへの熱気と興味を生む
●顧客と共通利害を持つ分野が生じたことで、顧客がその分野に対して抱く前向きな感情を、結果的にブランドに対しても抱くようになる
●顧客と、友人か同僚、またはメンターになぞらえた関係を適用できる見込みが高まる。
●結びつきによってできた社交コミュニティは、活発な社交活動となる可能性を持つことが多い
ではどうすれば、顧客との共通利害(=スイートスポットへの入り口)を見つけられるのだろうか?顧客のことを深く理解することは前提だが、主に3つの入り口がある。
●ブランドをスイートスポットと一体化し、資産と実質的な中身で貢献する全面的パートナーになれるかどうか決める
●ブランドと自然なつながりを持つスイートスポットを基盤にする
●全く繋がりがないか、弱い繋がりを持つスイートスポットを見つけるか作り出す。ただし、プログラムをどうやってブランドとリンクさせるか、という点が難題になり得る。
自社でスイートスポットに関連したプログラムを策定する場合は、「そもそも必要性があるのか」「自社で実現可能か」「プログラムは人を集められるか」「利用者数は十分か」「ブランドとリンクできるか」という5つの点を検証する必要がある。
ブランド構築は社内から
強力なブランド構築は、まず内部から始めることが重要だ。内部にブランドを浸透させることで、ブランドを前進させるプログラムを生み出す力が強まり、ブランドを弱めるプログラムが立案・実行されることを避けられる。社内でブランドを構築するには、「ブランドを学ぶ」「ブランドを信じる」「ブランドを演じる」という3つの段階が必要だ。
ブランドが弱まる時とその対処法
動きの激しい市場では、そのブランドが作っていると認識されているものを顧客が買わなくなりつつあるとき、深刻な脅威が発生する。対応策としては、大きく5つの方針が挙げられる。
●同格になる: 競合の”マストハブ”に性能面でほとんど負けない製品・サービスを生み出し、自社ブランドが排除されることがないようにする
●イノベーション: 一足飛びに競合を追い抜き、新しいカテゴリーを乗っ取る
●リポジショニング: 市場の変化に合わせて、価値提案がよりレレバントになるようにブランドを修正する
●同じ価値提案をブレずに追求する
●撤退する
また、市場の変化ではなく、ブランドのマイナス点が「買わない理由」となることもある。その場合には、正面から対応してマイナス点を打ち消す方法と、話題を変えてしまう方法がある。
前者の例では、例えば現代自動車は、品質に関するマイナスイメージを、業界初のレベルとなる保証制度、カー・オブ・ザ・イヤーの受賞、目につきやすいデザインで打ち消した。後者の例では、例えばウォルマートは、持続可能性に全社的に取り組むことで、ネガティブな風評に対抗した。
レレバントであり続けるために、ブランドには活気が必要だ。活気がないと、「購入時の検討対象」から外されたり、最先端でないとみなされたりしてしまう。活気を維持するには、下記の手段が考えられる。
●製品・サービスに継続的なイノベーションをおこす
●印象的なマーケティングプログラム(人々を巻き込む販促、説得力のある広告宣伝など)を実行する
●ブランド活性化要素を見つけるか生み出すかし、ブランドをそれに結びつける
●すでに活気のある既存ブランドと対象ブランドを結びつける
ブランドのポートフォリオ管理
ブランド同士のシナジー効果や役割を適切に管理するために、組織はポートフォリオ戦略を練る必要がある。各ブランドが事業戦略に置いてもたらす意味を適切に管理するべきだ。
ブランドを拡張する際は、ブランドの連想を確定させ、どの製品カテゴリにブランドを拡張するのかの候補を見極め、候補となったカテゴリを評価し(魅力的か、成長分野か、利潤が得られるかetc...)、カテゴリ内で、どのような製品・サービスを提供できる可能性があるか見極め、評価する。戦略的ブランド・マネジャーは、次の拡張先がどこかを単発で探すのではなく、究極のブランド・ビジョンを意識し、どのような拡張を積み重ねていけばそこに到達できるのか、複数の拡張を順序だてて考えるべきである。
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以上で、まとめは終了だ。この記事内では触れられなかった事項(例: ブランド構築を妨害する組織内サイロ)もあるので、気になった方はぜひ本を手に取ってみていただきたい。
自分の中でも、「ブランドとは何か?」「ブランド構築とは何か?」を整理できたいい機会であった。
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