弁当屋が教える「傷みにくいおにぎり」とは?
日本人のファストフード、おにぎり。
お弁当を作る時間がない時でも、手軽な1食になりますよね。
ところが、これからの暑い季節。
実は結構傷みやすいのです。
朝持たせてもらったおにぎりを、お昼に食べるのを忘れてしまう。夕方に食べようとおもったら、ごはんから糸みたいなのが引いていたり。
真夏の締め切った車内に、たとえ5分でも置き去りにするなんてもってのほかですよ。
そんなわけで、今日は少しでも食中毒リスクを少なくする「傷みにくいおにぎり」の作り方のお話しです。
①炊飯器のタイマーは使わない
忙しい人は、寝る前に研いだお米と水を入れて、タイマーをセットしがち。朝起きて炊きたてご飯があると便利で時短。お気持ちはわかるんですけどね。
真冬ならまだ良いんですが、梅雨時から秋くらいまでは確実にダメ。炊飯前に雑菌が繁殖してしまいます。
この状態で、室温に数時間の放置はリスクしかないのです。
「雑菌が繁殖しても、どうせ炊飯でガンガン加熱するから大丈夫でしょ」
大丈夫じゃないんですよ。
食中毒菌の中には加熱しても死滅しないセレウス菌、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌と呼ばれる特殊な細菌があります。
例えばセレウス菌。米や野菜などに普通にいます。芽胞と呼ばれる状態では、100度で30分加熱しても、死なないで生きているんです。
なので朝起きてから、炊飯器の「お急ぎモード」で炊飯するのがおすすめです。
②炊飯時に殺菌効果のある物を混ぜる
具体的には、炊飯時に米酢や梅酢を混ぜて炊飯します。
米3合に小さじ1杯とか。味はつかなくて良いのです。
梅干しを炊飯時に1個いれるとかでも良いでしょう。
梅酢とは、梅干しを漬けた時に出る液体の事。
梅や赤紫蘇のエキス、塩分、クエン酸が含まれます。
クエン酸に殺菌効果があるんですよね。
炊飯時に入れ忘れたら、おにぎりを握るときの手酢に梅酢を使っても、防腐効果が期待できますよ。
③おにぎりを素手で触らない
手って、どれだけ強く洗ったり、消毒をしても雑菌が残っています。弁当屋では鉄則ですが、食材に素手で触れるのはNGです。
飲食店で持ち帰り弁当を作る時。
右手に箸、左手は素手で盛り付けていたりしますよね。
あれ、絶対にダメですから。
なのでおにぎりは、エンボス手袋をして握る、ラップにご飯を入れてくるむように握るなどして、直接ご飯に触らないでくださいね。触ったところから菌が増えていきますから。
とある自称自然派ママさんが「おにぎりは素手で握るからこそ愛情が伝わる」「手の善玉菌が食材と絡み合って美味しさに変わり、食べた子が健康に育つ」とか言っていたのですね。
具体的にどんな善玉菌がいるのかは知りませんが、手には食中毒菌こそたくさんいるって知っていますか?笑
ご自身の家庭内でだけやるのは、自己責任の上で自由です。
もしも情熱弁当が「素手で握った自然派(?)おにぎりを、不特定多数のお客さま向けに販売したい」といったら、保健所の営業許可は降りない話しですよ。
④おにぎりは、ご飯が冷めてから
熱いうちの握りたておにぎりは美味しいですよね。
それは、家庭内ですぐに食べるときだけ。
外へもっていく食事としてなら、扇風機の風に当てるなどして、ご飯を冷ましてから握ってください。具体的には20℃以下でしょうか。
熱いうちに握って容器に入れたりすると、こもった熱と出てきた水分で腐りやすくなります。
またおにぎりを包むのであれば、温度管理がし易い1個単位がおすすめです。
おにぎりと一緒に、保冷剤を入れた保冷バッグに入れて持たして下さったら完璧です。
⑤腐った食べ物の状態を家族で共有する
主題と外れるのですが、大切な話し。
おにぎりが意図せず傷んでしまったら、捨てるのをちょっと待って。
料理を普段作らないご家族に、一目見せてあげてほしいのです。
「ご飯が糸を引いていたら、食べちゃダメよ」
「こんな酸っぱい匂いがしたら、もう食べられないからね」
「表面を触ってねっとりしていたら、食べずに捨ててね」
通常、傷んだり腐った食事は、提供前に捨てますよね?
料理をいつもつくる人以外。「腐る」って案外知らない事実なのです。
食べてはいけない状態を具体的に知ってもらうことで、「食べられない判断基準」を育ててあげてほしいのです。これも食育ですよね。
というわけで、今日のテーマは「傷みにくいおにぎり」の作り方のお話しでした。
今年も昨年以上に暑そうです。
安全に乗り切っていきましょうね♪