深夜に、マクロ撮影実験。
Nikon D800を入手した時の話である。今から10年ほど経つが、余りの嬉しさに、夜中になると、それをデスクに置いて、取説見ずに設定確認しながら操作を覚えていった。
そうなると、何か被写体を見つけて撮りたくなる。マクロレンズがどれほど寄れるのか、また、このカメラとの相性が良いのか否かが気になり、先ずは腕時計を外して撮ってみた。
照明が暗いので、手ブレ、シャッターブレを起こさぬよう、息を殺してシャッターを切る。本来ならば、煌々と照明を当てて、マクロ撮影する必要があるが、そんなのはお構いなし。
次に、日頃署名用に使っている万年筆のキャップを外して撮ってみる。高機能デジタル一眼レフカメラは、小さな埃さえも拾ってしまうので、ペン先の汚れや傷が鮮明に映る。
MacBook Proの液晶画面のエッジに、ハエトリグモが突然跳んできた。そっとレンズを近づけ、カメラ目線のハエトリグモをパシャリ。目が8つある、ハエトリグモ。全天球型の眼球を持っていて、宇宙船のような頭をしている。
そうしている内に、動きのあるものが撮りてくなってくる。デスクの引き出の中にライターがあったので、点火石が削れるところが撮れそうなので試してみた。まあまあうまい具合に花火のように撮れたようだ。
マクロ撮影実験は、更にエスカレート。最後は、マッチ棒が点火する瞬間を撮りたくなり、試してみる。何度も何度もやり直し。5回目くらいでやっとブレなく撮影ができた。着火の瞬間を捉えて、大満足。
マクロ撮影を終えると、額に汗をかいていた。何とも大人気ない時間に集中したものだと、苦笑い。
しかし、10年以上も前に3,630万画素のデジカメは、Nikon製品としては最高値のもので、フルサイズで撮影する景色など、虫眼鏡で見ても、微細に映るのであった。
それから10年後に、このNikon D800は壊れてしまったが、現在は、デスクの上に静かに仮眠をとっている。修理すれば再起可能であるものの、十分取材の主役として役割を果たしてくれたので、そっとしておこうかと。
ただただ、感謝しかない。