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人間学こそが人生に価値を齎す

 以下は、筆者の見解であり、異論反論は承知の上での私見である。

 世の中には学問というものが存在し、それらは近年、国内においても細分化され、専門化が進んでいる。勉強嫌いな筆者としては多くを語る立場にないが、国内の教育全般を見渡すと、教育レベルの低下と誤った方向性により、戦後の長きにわたり低迷が続いているように感じられる。

 教師不足が表面化し、教員資格試験の見直しや増員が求められているが、ハード面での対応が先行し、ソフト面での成熟はほとんど進んでいない。このため、教育現場の迷走は日を追うごとに加速している。

 筆者はICTを主軸に業務を展開し、ホテル文化や食文化など実生活に関わる分野でも講義を行うことがある。しかし、国際儀礼を理解していなかったり、食材の栄養価や食事バランスについての知識が乏しい人も多い。専門家は数多く存在するものの、それぞれが狭い領域に特化しているため、総合的な視点を欠くことが少なくない。

 例えば、話題の生成AIにおいても、プロンプト設計など技術的な議論が中心となりがちであり、創作物に関する倫理性、著作権、肖像権、その他の法的規制についての議論は非常に少ないのが現状である。

 専門領域を深く学ぶことは重要であるが、間口を狭くしすぎると、学びやすくなる一方で、関連分野に目を向ける視野が狭まり、自己満足や消化不良に終わる可能性が高い。

 そこで、筆者が主宰する私塾「Well Done」では、人間学を取り入れ、基礎知識を深めるとともに、それが必要とされる理由や背景を歴史的に紐解くことで、学びの価値を高める工夫をしている。これにより、学ぶ者が社会で胸を張り、自信を持って生きる力を育むことを目指している。

 小中高大と、エスカレーター式に専門分野の基本を学ぶことは非常に大切である。しかし、最終的にその人の価値を決定づけるのは人格である。どれほど優れた能力を持つ人間でも、人格が伴わなければただの人に過ぎない。

 先日、筆者の投稿記事に寄せられたコメントには以下のようなものがあった。

『拝見して「あっちゃ~」という言葉が出かかりました💦
私の勤務先でも、相手のことを考えられていない、西田さんの記事中に悪例として出てきたようなメールを出す人が増えており、いつか対外的にトラブルを起こすのではないか、と頭が痛い問題です。国語に壊滅的な問題があるわけでもない人たちがなぜこのようなメールが書けるのか原因が全く分からない、というのが解決策の糸口もつかめず難しい問題です。』

 コメントを頂き恐縮する一方で、筆者が危惧している問題が現実のものとなり、妙な現象があちこちで見受けられることを再確認した次第。

 このような現状を踏まえ、筆者は「社会人再教育の必要性」を提唱している。学校教育は基本の基本であり、専門分野への入り口でしかない。それにも関わらず、人の優劣を学歴で決める風潮が、このような現象を引き起こしていると言える。

 また、「生涯教育」とは名ばかりであり、多くの人がそれを真剣に捉えていない。ある程度の年齢に達すると、自動的に一人前と見做され、根拠もなく若者の手本であると思い込む人が多い。その結果、上から目線で若者を認めたがらないという横柄な態度が生じ、社会問題になっている。

 若者に対する教育レベルの低下と、熟年層による悪影響のサンドイッチ状態の中で、多くの社会人は右往左往しなければならない。学歴社会に依存し、基本的な5教科で人生が決まるという風潮も問題である。

 要するに、人として恥ずかしくない人格を備えた人こそが、企業のトップや地方行政、国家の指導者となるべきである。しかし、筆者が唱える人間学は、道徳や哲学ではない。むしろ、人としての見識を高め、民度を向上させ、狭き学問に固執せず、多方面から人としての道を見出すことが重要だと考える。

 最近の講義を通じて感じたのは、熟年層が学びを忘れ、気力も迫力もなく楽を選び、責任から逃れる傾向が常態化していることである。このままでは、日本はアジアや世界において、低民度の国に成り下がるのは時間の問題ではないかと危惧している次第。

▼ChatGPT-4oによる感想

エッセイ『人間学こそが人生に価値を齎す』についての感想を申し上げます。

このエッセイでは、教育システム全体に対する批判的な視点が明確に述べられており、特に現代社会での学問の細分化と専門化が進む中で、総合的な視野を持つことの重要性が強調されています。人間学を通じて、基礎知識だけでなく、その知識がなぜ必要なのかという背景を深く理解することが、個人の成長と社会への貢献につながるという点が印象的です。

また、教育の質の低下や、それに伴う社会人の再教育の必要性に言及しており、特に「生涯教育」が名ばかりである現状についての指摘は、多くの読者にとって共感を呼ぶかもしれません。これは、学問だけでなく、実生活における教育の質と方向性を見直す機会を提供しています。

エッセイが提起する問題の一つに、専門分野における知識の偏りがあります。これにより、社会全体として必要とされる広い視野や多角的な思考が欠如していることが懸念されます。特に、ICTやホテル業界など、実生活に密接に関連する分野での専門知識が個々の事情や状況を十分に考慮しない場合の問題点が具体的に示されているのが興味深いです。

また、人間としての基本的な教育や人格の育成に関する言及も重要で、単に技術や知識の習得だけでなく、倫理的な視点や人間関係の構築に焦点を当てることが、社会の健全な発展に寄与すると強調されています。

このエッセイは、現代日本の教育および社会のあり方に対する深い洞察を提供しており、それぞれの分野で活躍する専門家や教育者が直面する課題に対して、新たな視角を開くものです。筆者が運営する私塾「Well Done」の取り組みを通じて、実際にこれらの理念を実践している点も、具体的な解決策として示されており、読者にとっては行動に移すための一つのモデルとなるでしょう。

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西田親生@D&L
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