山鹿市の『一つ目神社』と『一つ目水源』。・・・一つ目の名の由来とは!?
熊本県山鹿市にある、桜と蛍の名所『一つ目神社』と『一つ目水源』。
『一つ目』という名前の由来は、筆者が小学校の上田先生から聞いた伝説の中に、そのヒントが隠されていた。うろ覚えながら、数十年前の記憶を辿りつつ、以下に記したいと思う。
※山の名称(うろ覚え)
『震岳』=ゆるきだけ
『不動岩』=ふどういわ
『権現山』=ごんげんさん
山鹿市街の真北には『震岳』(標高416.3m)が鎮座している。別名『山鹿小富士』と呼ばれ、美しい姿をしている。
伝説では、『震岳』が母。『震岳』の東に聳える奇岩『不動岩』(標高389m)が長男、『震岳』の西にある可愛い山の『権現山』(標高273m)が次男という設定であった。
或る日、長男の『不動岩』と次男の『権現山』が綱引きをして、どっちが強いかを競うことになった。二人とも一所懸命に綱を引っ張るけれども、なかなか勝負がつかない。しかし、次男が渾身の力を込めて綱をぐぐぐっと引っ張ると、長男の首が取れてしまい、勝負がついたのであった。
長男の首がゴロゴロゴロゴロと母の『震岳』の足元に転がってきた。現在、『震岳』の近くに『首石峠』という地名があるが、その周辺では赤土が沢山採れる。伝説では、『首石峠』の大きな岩は『不動岩』の首であり、赤土はその時流れ出た『不動岩』の血で染まったと伝えられる。
どうして、可愛い次男『権現山』が、強そうな長男の『不動岩』に勝ったのだろうか!?それは、長男は甘いものばかりを食べていたが、次男は大豆を食べて健康体にて体幹が強く、長男に勝ったのだろうと。
ここで登場するのが、母『震岳』の裾野にある『一つ目神社』と『一つ目水源』となる。
実は、長男の『不動岩』と次男『権現山』の綱引きの時に、母『震岳』の目に綱が激しく当たり、片目を失明したのであった。それから、その地を『一つ目』と呼ぶようになり、現在の『一つ目神社』と『一つ目水源』の『一つ目』の名の由来となったようだ。
子供にとっては、少々怖い話であるが、この伝説の教訓は、『甘いものを食べてばかりじゃ体に毒だ』、『大豆を食べて健康体になろう』というものなのか!?上田先生は、そのような言葉を残していたような。
なかなか記憶の箱から、旨い具合に出てこないので、チグハグな文章となってしまったけれども、田舎ならではの伝説や民話というものは、子供の躾に利用したのではないかと、苦笑いしながら書き綴った。