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郷土愛を熱弁、3時間。久しぶりのface to face会議で、今後「秘策」が見出せるか!?

 本日、或る宿の女将と3時間にわたり話をする機会があった。熊本地震、豪雨被害やコロナ禍などもあり、face to faceで話すことが激減していた数年間。久しぶりの対面での会議となった。

 感想を申し上げると、(1)観光振興に限った場合でも女性のパワーは必要不可欠、(2)環境変化に対応するための本業ベクトル微調整の必要性、(3)地元ならではの食文化の見直し、(4)従来の地域おこしの検証と反省点などを語った。


<過去におけるリサーチ業務委託の実態>

 地域おこしが直接的に観光振興に結びつくことが理想であるが、その起爆剤となるものが、外部からのコンサルやコーディネーターの発案なるものが多く、地域の歴史、伝統、特性、郷土食、民度など、全てを知り尽くしている人は非常に少ないという事が気になる。

 兎に角、地方に至っては、特に県外の大都市部からの企画ものの評価に対して脇の甘さが目立ち、めくら判が多い。新聞社時代を思い起こしても、或る地方の「アウトドアスポーツの可能性」についてリサーチを実施した時のこと、県の予算は僅か200万円。ところが、数年前の同様のリサーチを大阪某代理店が行ったものへは、何と1500万円の予算を組んでいた。

 六十数ページの報告書の半分が、「熊本県万能地図」(当時、熊本日日新聞社刊)を勝手に複写しており、全く価値のない水増し報告書であった。それを痛烈に批判した筆者だったが、当時の担当者はしどろもどろするだけで、結局、確認不足によるめくら判を認めた。

 地元以外からスーッと入り込んでくる人物像について、自治体のチェック機能は思いのほか杜撰である。能力チェック、実績チェック、人格チェック、人脈チェックなど、入念なるチェックを行い業務委託するのが、自治体の責務である。

 特に、助成金ありきの提案書を持ち込む人物については、筆者は頭から
信用しないことにしている。助成金や補助金などは全て税金で賄われる。よって、助成金ありきを旗印に乗り込んでくる人間が、その収入源のターゲットにすること自体、本末転倒となる。

 このように自治体による助成金事業について脇が甘いからこそ、東北大震災の時のように、数億円の横領事件などが後を絶たない訳だ。税金が湯水の如く外部へ流出し、オーバーフローしていても、その業務委託内容を精査していないのが現実。よって、角砂糖に群がる蟻のように、あちこちから怪しげな人物の餌食となっている。

 血税を愚弄するような事件が頻繁に行われていても、自治体やその他団体は直接的な痛みを感じていない。何故なら、血税が予算という表示に書き変わって、心無い自治体職員や議員の一部は、「自分のポケットマネー」と思い込んでしまうのだから、開いた口が塞がらない。

 助成金を狙い澄まして近寄り、それを生産農家などに提案書(人参)をぶら下げてくるのは、新商品開発が目的ではなく、コーディネーターに成り済ました人間の食い扶持確保が目的となっている点が、非常に苛立たしい。

 よって、地域のためにならぬどころか、最終的に生産農家に助成金が降りない場合、大損するのは似非人参を齧った生産農家となる。その悪質なる手口を見ていると、すこぶる真面目にコンサル業を展開している人たちに、大変失礼な話となる。


<今後の宿戦略について>

 冒頭の女将へは、過去における地域おこしの実態を含めて、多元的な切り口にて話を続けた。

 今回、会議のために準備したものは、5ページに及ぶ挨拶文とその他資料。コロナ禍でもあり、一つ一つを説明していると数日掛かってしまうので、資料は前もってレターパック便で郵送し、本日の会議を迎えた。

 筆者が常々唱えるのが「Humanware、Software、hardwareの三位一体論」である。一般的に、地方では「Hardware」を重要視する傾向にあるが、その前に「Software」の充実を優先すべきであり、新たなプロジェクトを完遂するためには「Humanware」が必要不可欠となる。

 観光振興について考察すると、この「Humanware」を担うのが、宿の女将たち。県内各地の観光地において、熊本地震前、コロナ前で地域活性化に尽力していたのは、女将が先陣切って頑張っている宿であった。

 今後のニューノーマル時代の生活環境下においても、以前よりも更なる女将のパワーが、観光振興の火付け役になりはしないかと思われる。

 以前は観光振興の旗振り役、組織の重鎮は、圧倒的に宿の旦那衆が占めていた。しかし、これからの時代は、女将たちに権限が移譲されることで、現実的にも戦略的にも、一貫性のあるプロジェクトが可能になりはしないかと、期待している次第。

<熊本市内はホテル乱立の時代へ>

 熊本市内は、最近、ホテル乱立が目立ち、近い内に1500床〜2000床増える見通しである。判官贔屓の筆者であるが故に、どうしても、歴史と伝統を誇るホテル群に声援を送りたくなる。しかし、従来の老舗ホテル群がどこまで危機感を守っているのか、秘策があるのかは、定かではない。

 熊本市内最大の繁華街である下通りアーケード街入り口角には、2023年春にブランド力のある「星野リゾート・OMO5熊本」が進出する。地域に根ざし、アーケード街の各店舗との連携を十分考慮に入れた展開。コンセプトの切れ味の違いに、深く頷いてしまう。

 「俺が!俺が!」の熊本らしい経済界に、大きな衝撃を与えるに違いない、星野リゾートの熊本進出。さて、旧御三家である地元ホテルが、「王手飛車取り」の秘策を講じることが出来るか否か、静観することに・・・。

 従来の宿の「仲良しクラブ」、「どんぐりの背比べ」が通用しない厳しい時代となっている。勿論、カスタマーに対する各社連携は必要だが、グルメの共同イベント「○○フェア」など安直なる従来の展開ばかりでは、県外資本ホテル群のパワーに対抗できるかと言えば、とても不安になってくる。


<道の駅の質向上が課題>

 郷里への想いは数倍あると、自負している筆者だが、過去を振り返れば、行政の動きが鈍化して、或る施設が放置状態となったり、各道の駅がどんどん衰退している様を見ると、居た堪れなくなってしまう。

 先日も、数カ所の「道の駅」に足を踏み入れ、様子を伺うと、かなり荒れ果ており、観光客の姿もなく、閑古鳥が鳴き、ソフト面もハード面も全く管理できていない状況。指定管理者制度に疑問を抱くばかりとなった。

 以下の通り。

1)トイレ施設が汚い
2)郷土料理の良さが伝わらない
3)商品はリーズナブルのようだが品質が悪い
4)観光客への対応が悪く配慮がない
5)接遇に対して関心がない
6)笑顔がない
7)動線が悪すぎる
8)全体的に衛生管理が悪い

 昨日の記事「指定管理者制度に疑問!?・・・『道の駅』のトイレの古さと汚さに、腰を抜かす。」を参照して頂きたいが、驚くほど酷いことになっている。


 何はともあれ、3時間という時間では足りないほどだったが、初めてお会いした女将へは十分伝わったのではないかと、自負している。

 方や、東京・増上寺(徳川家菩提寺)では、安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀が執り行われていた時間帯である。同寺は、筆者が新聞社を経て起業し、早々に訪れたのが増上寺であり、とても懐かしいところでもある。

 末筆ながら、安倍晋三元内閣総理大臣のご冥福を心からお祈り申し上げる次第。67歳という命は、政治家としては短すぎる。兎に角、海外の国家元首や海外メディアの取り扱いが、国内のそれよりも大きいことに驚いた。それだけ、外交というものが主権国家にとって重要な生命線であることを、再認識したのであった。

鹿央物産館内の古代蓮園にて

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西田親生@D&L
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