想い出の『善家繁の世界』・・・四川料理 桃花源(熊本ホテルキャッスル)個室にて
今回のメインは、どれもこれもメインのようだが、『手長海老』が珍しく、『フカヒレの牡蠣ソース煮込み』と『帆立貝柱の香り辛しソース』のインパクトは強かった。
『前菜彩々』のミニミニ中華鍋がお気に入りで、高級中国料理の個室での堅苦しい会食であっても、これを見れば誰しも緊張がほぐれるに違いない。とても、可愛い器である。(持ち帰り厳禁)
同氏の頭の中は、全ての食材の『シミュレーション・データベース』があり、その食材を最高の状態にて楽しめる料理を創り出してくれる。
特筆すべきは、『乾燥鮑のステーキ』や『極上フカヒレ姿煮込み』。今まで、比類なき『逸品』として、多くの方々にご紹介したものである。
お味のほどはと聞かれれば、自称グルメ通の筆者であっても、簡潔に答えることが困難なほど、深みのある味わいにて、筆舌に尽くし難く、実際に食べるしかない。
どんなに若手の弟子たちが頑張って同氏の料理を真似しようとも、ほとんど不発に終わる。どこが違うのか、火加減が違うのか、火を通す時間が違うのか、訳が分からない。
一般的な『坦々麺』にしても、同氏が作ると、スープ+ツーマージャン+挽肉が一体化している。下手が作ると分離してバラバラになりがちだが、同氏のものは完璧に融合しているのである。
少々、話が他所に行ってしまい、腹の虫が鳴り始めた。
今では見ることも食べることもできなくなった『善家繁の世界』。もしかすると、土日にこっそりホテル厨房へ足を運び入れているかもと、期待しながら行くこともある。
現在、桃花源は四代目の早川料理長が頭となっているので、折を見て、『善家繁の世界』を受け継いだ若手料理長の料理を食してみようかと、楽しみしているところだ。
最後に、以下、食しながらの撮影にて愚作ばかり。申し訳ないが、我慢してご覧いただければと。
※善家繁氏:前熊本ホテルキャッスル総料理長兼常務取締役、二代目桃花源料理長/日本中国料理協会技術顧問などを歴任)
▼四川料理 桃花源