ミスター・おにぎりマン(第4話)
「お前たちは、クレーム処理もできないのか!?この社長である私が、このクレームを入れた人間に直接対応するので、よく見ておけ!」と言わんがばかりに、AとB二人に詰め寄る、ミスター・おにぎりマン。
事の発端は、予約を入れていた人物がその確認をしたところ、全く異なる条件になっていたことへ激怒。その場にいた、ペイペイの社員Sにクレームを入れたのである。
ここで問題を大きくした人物が社員Sであることに注目しなければならない。
社員Sは日頃から上司であるBを更迭させて、自分がBの職位に就きたいという野望があった。以前にも自分の上司問題を役員へ虚偽報告を行い、その直接の上司を左遷させた経緯があった。
今回、この社員Sがお得意の虚偽報告を行ったために、上司であるAもBも正確な情報を得ることもなく、クレーム処理に直面することになった。
流れは、クレームを入れた人間に対して、社員Sは万全の対応をしたので、問題ないという旨をBに告げ、Bは何も知らぬ状態で対応するに至る。
そこでクレームを入れた人間が激怒。更に、Bの上司であるAを引き摺り下ろし、Aもまた詳細を把握しないまま、社員Sの情報のみにて対応することになり、クレームを入れた人間が激昂するに至る。
更に、歪んだ情報のままおにぎりマンへ伝わり、おにぎりマンがAとBの失態として「見せしめ扱き」を講じることになる。
おにぎりマンとしては、飛んで火に入る夏の虫。AとBを大上段で振りかぶった木刀で精神的に凹ませることへの快感を得つつ、クレーム処理に直接当たったのである。
いつものように80人近い社員へCCメールで送りつける、おにぎりマン。文章中には、クレームを入れた人物の氏名やメールアドレスなど個人情報が書かれており、個人情報漏洩を意気揚々と遣ってしまう、おにぎりマン。
結局は、おにぎりマンが謝罪文と菓子折りをクレームを入れた人物に渡すが、菓子折りは返却され、有耶無耶になってしまった。よって、完璧なクレーム処理ができなかったのである。
しかし、おにぎりマンはAやBに「この返された菓子折りはこのまま置いておく。見るたびに、お前たちが如何に杜撰なクレーム処理を行なったか、その失態を思い出せ」と、自らの不甲斐なさは棚に上げ、全て責任転嫁してしまったのである。
以上をわかりやすく時系列にまとめ列記することに。
1)クレームを受けた社員Sは、クレームを入れた人物へも社内へも、自分の都合の良い虚偽情報をばら撒き、直接の上司更迭への可能性を探り、クレームを入れた人物へは寄り添うような素振りを見せ上司批判を続ける。
2)社員Sの蛮行により、AもBも全く実情とは程遠い内容を植え付けられ、クレームを入れた人物へ対応不能の状態に陥る。
3)上の状況を聞きつけたおにぎりマンは、日頃からの鬱憤を晴らすために、ここぞとAとBへの恫喝に走る。
4)クレームを入れた人物にとっては「社長まで引っ張り出した」で満足しているに違いない。
5)クレームを入れた人物とは中途半端なクレーム処理で尻切れトンボ。後付けとして、おにぎりマンは社内での恫喝を続行することになる。
6)最終的に、この件を誘発させた張本人である社員Sは更迭され、辞職に追い遣られた。
それぞれの思惑が交錯するという、如何にもブラックな様相を呈しているが、どこにも「正義正論」が存在しないところが面白い。
誰しも堂々と責任を取るのではなく、全てに「責任転嫁」と「証拠隠滅」のウィルスが暗躍しているだけの話である。
以上のクレーム事件で誰が得をして、誰が損をしたのか!?
<得をした人間>
ミスター・おにぎりマン
日頃からの鬱憤晴らしができた!(満面の笑み)
<損をした人間>
A:難癖を社内から突きつけられた(不慮の事故に遭遇)
B:難癖を社内から突きつけられた(不慮の事故に遭遇)
<罰が当たった人間>
S:辞職に追い遣られた(自業自得)