脇宮盛久の世界(3)・・・『小吸椀』
先ず、器に描かれた鈴虫に目が行った。羽根のところは貝殻を施してある。和食らしさが漂う、小さな椀。蓋を開けると、中央に盛り付けられた吸い物の主役たち。
『菊花蓮根饅頭 蕪擂り流し仕立て』という、小吸椀。名残鱧射込み、松茸、菊菜、柚が食材として使われており、絶妙なる吸い物であった。
会席料理の中では、この吸い物が命であると考える。何故なら、職人の腕の高さが、この小さな椀に凝縮されているように思えてならないからだ。
最後の一滴まで飲み干し、器やその蓋をじっくりと拝見していると、旧友と数十年ぶりの再会にて食を共にしたことが、一生の思い出になった。
因みに、この写真を海外の写真愛好家グループに掲載したところ、すこぶる評判が良かった。和食ならではの、料理の繊細さと器との共演が少しでも伝わったのかと、安堵した次第。
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