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ITの落とし穴を探ってみよう!・・・事件事故に巻き込まれぬように。

<インターネット黎明期>

 新聞社を経て、1990年にマルチメディア・オフィスとして株式会社を立ち上げた。当時、熊本でマルチメディアと言っても、うんともすんとも反応はなかった。

 そうしている内に、1994年にインターネットが日本初上陸した時に、世界を変えるという予感がしたので、翌年、早々に『IT事業』を本格化し、現在に至っている。

 運良く、インターネットの黎明期に参入し、試行錯誤しながら、『健全なるインターネット』とは何ぞやと自問自答しながら、事業を展開してきた。


<CCメールで炎上>

 クライアントが増えてくるのは良いが、時折、妙なトラブルが生じるようになる。それは、インターネットの世界を知らずして、電子メールのCCメールを使ったことにより炎上した、初のトラブルだ。

 某旅館(現在、廃業)のG社長が良かれと思い、旅館の最新情報を400人のネットサーファーへCCメールで送ったのである。皆さんがお気づきのように、400人の個人の電子メールアドレスが漏洩したことになる。

 その日、G社長への誹謗中傷のメールがわんさと飛び込んでくる。困り果てたG社長が、深夜に筆者へ電話で、その経緯を話してくれた。

 誹謗中傷メールを読んで驚いたのは、「お前なんか、二度死ね!」とか、「馬鹿か、お前は。皆にメールアドレスを公開して、何を考えているんだ!」と、続々と、そのG社長のパソコンにメールが飛び込んでくる。

 1997年頃の話なので、現在のようにネットユーザーは圧倒的に少ないものの、何とかしなけれならない。よって、筆者がそのG社長に代わり、400人、一人一人へ謝罪文を送ることにした。

 夜が明けてしまった。首も腕も指先も痛いほどに痺れ、疲労困憊となった。どうしたことか、こちらからの謝意が伝わったのか、筆者への反論やツッコミがピタッと止まったのである。

 現在でも同様に、電子メールを使う場合には、社内ではCCで構わないが、複数の第三者へ送付する場合は、BCCを選ぶのが鉄則である。まあ、一人一人、手抜きなく、個別のメールを送るのが、エチケットでもあろうか。

 当時、インターネット上で『ネチケット』という言葉が流行した。『ネット+エチケット』の新造語である。しかし、今思えば、ちょっとしたことで、爆弾でも落ちてきたかのように激怒する人が誹謗中傷メールを投げつけるけれども、そこは『アンガー・マネジメント』の問題である。


<悪徳ネット事業者の出現>

 2000年を過ぎると、悪徳ネット事業者の出現が、あちらこちらで見受けられた。インターネットの詳細を知らずして、適当な屁理屈にて営業を展開する、詐欺的な事業者も多かった。

 「独自ドメインは、漢字で書くドメインに世の中変わりますから!」とか、「独自ドメインを持たないと損しますよ!」とか、全く根拠のない営業を仕掛けてくるのである。更には、筆者のポータルサイト料金が高いとか云々と、あからさまに営業妨害をする輩もウロチョロしていた。

 インターネットの黎明期も知らずして、取材力もない、情報発信力も拡散力もない。名称は格好いいが『コンテンツ・プロバイダ』と称して、『作って終わりのホームページ』を乱発する時代に突入したのである。

 日本語もろくに話せず、書けず、読み取れずの人間が、全く素人の経営者にカタカナ英語を用いて、契約を交わして行く。一度、WEBサイトを公開したら、それから全くメンテナンスもなく、何年も放置の状態となる。


<SNSを絶賛する基礎自治体の長たち>

 2010年を過ぎると、妙な噂が立つようになる。それは、「Facebookがあるから、従来のWebサイトを公式サイトにする必要はない。」という極論である。正直、この見解については、嘲笑するしかなかった。

 テレビ報道でも、九州では2つの基礎自治体の市長が、「Facebookを公式サイトにする!」と言って、話題になった。SNSは『無償』であるし、従来のWebサイト構築は高額なので、『Facebook』ページを行政の公式サイトにするという大胆不敵な愚策である。

 案の定、素人判断の矢は、即座に折れてしまった。これも皆さんがご存知の通り、『無償』で使えるものは、急に『仕様変更』となりがちで、個人情報等がそのSNSに吸い込まれてしまう危険性もあるからだ。

 そこで、基礎自治体の長が「公式サイトをFacebookに移行する!」と宣言すると、「ちょっと待て!」と言いたくもなる。何を根拠に、大胆不敵に、向こう水なことを遣るのかと、首を傾げるばかりであった。


<『無償』のアプリを使った小遣い稼ぎ>

 当時、あちらこちらで、小銭稼ぎのために『Facebookセミナー』が流行した。参加費2000円程度で、お茶して『Facebookの使い方』をレクチャーするものだ。笑ってしまった。筆者はそれに反して、『無償』でクライアントへ情報共有を行ったのである。当然のことだ。

 何故、『無償』でノウハウ提供したのかと言えば、『Facebook』自体が『無償』なのに、何故、受講料が取れるのか!?という素朴な疑問である。その輩は『ノーリスク、ローリターン』を求めているだけで、話にならない。こんな輩がいるから、良いものも悪いものへと変わったりもする訳だ。


<個人情報漏洩の危険性あるSNS>

 最近でも、LINEに個人情報漏洩の嫌疑が掛けられたことがあった。SNSは非常に便利だが、その運営管理側は、見ず知らずの人間ばかりである。だから、いくら『無償』で使えるとしても、その代わりに個人情報を差し出す義務や責任など全くない。

 WEBサーバーでも、SNSサーバーでも、運営上、必ず『ログ』というものが記録され、いつ何時、誰がどの時間帯にて何をどうしたという、個々のIPとそのアクティビティが抜き取られてしまう。だから、危険がないとは絶対に言えないのである。よって、危機管理に疎い人たちは、事件事故に巻き込まれ易いと言っても、過言ではない。御用心、御用心。


<筆者の眼は、ネット世界が透けて見える。>

 そんなこんなで、四半世紀もインターネットに触れていると、何がどう動き、何がどのように変わるか、メタバースの台頭と限界などが見えたりなど、全ての流れが予測できると自負している。『歴史は繰り返す』と言うが、『ネットは繰り返す』も真理のようだ。

 兎に角、本業とネット事業の両輪を無駄無理なく、効率良く動かすには、経営者自身も「デジタルは苦手だから!」と逃げずに、納得の行くまで、ネットの仕組みくらいは十二分に学ばれることをオススメする次第。また、詐欺の口車に乗らぬよう、気をつけて頂ければと願うばかり。

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西田親生@D&L
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