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カスタマイズされた激辛ビーフカレーが癖になる。料理長のニヤリの様子で、辛さ加減が分かるような・・・

 今まで何百食お腹に入ったのか分からないが、このカスタマイズされたビーフカレーが癖になって、既に7年ほどが経つ。

 実は、このビーフカレーは、熊本ホテルキャッスル1階にあるダイニングキッチン九曜杏のものだ。元々は、ルウの色も香りも辛味も違うものだが、或る時から、同レストラン料理長がカスタマイズしてくれるようになった。

 いつも足を運ぶたびに、微妙に香辛料の調合が異なる。基本が変わらないので、安心してその日のカスタマイズを楽しむことができる。ただ、時には、跳び上がるほど辛さが突き刺さるものがあり、この時ばかりは「堪忍してほしい!」と叫びたくなる。

 以前、或るギャルソンが「この激辛カレーライスをお運びする時、目が痛くなるほど辛さが伝わって来ました。大丈夫ですか!?」と心配そうに覗き込む。「いえいえ、大丈夫ですよ。旨い!旨い!」と言いながら、首から上は間欠泉状態となり、苦笑いしながら誤魔化す。

 振り返れば、同ホテルには数種類のカレーが存在していた。極上欧風カレー、黄色いスタンダードカレー、やや赤みのあるトマトカレー、このカスタマイズカレー、レトルトカレー(お土産用)とホテル賄いカレーである。極上欧風カレーは前総料理長の十八番だったが、今では幻のカレーとなってしまった。

 トマトカレーは、同レストランの前料理長がこよなく愛したもので、或る女性客専用のように振る舞われ、その女性は100食以上注文したと、Facebook上で呟いていた。今ではその女性の姿を見ることはなくなり、トマトカレーも静かに姿を消してしまったようだ。

 筆者がとても幸せに思うことは、このように、歴史と伝統を誇る、熊本県内屈指のシティホテルのレストランにて、食堂部長や厨房の料理長(和食・洋食・中華)をはじめ、心尽しの料理を提供してくれることである。時には我儘を言うこともあるが、信頼関係があってこそのキャッチボールであると考えている。

 食は人生を変えてしまうほどの魔力を持っているが、熊本市内のグルメ黄金期を創ったプロの料理人(職人)たちは、既に75歳以上の高齢者となっている。勿論、85歳になっても琥珀色のコーヒー(珈琲アロー)を点てる立派な店主もいらっしゃる。

 熊本の郷土料理は、県外に通じるほどのものは少ないと思っていたけれども、プロ料理人や職人レベルの高さはグローバルスタンダードであり、筆者の郷土自慢の筆頭格として、いつも話題に挙げることにしている。

 県外からの客がある時には、同ホテルを紹介し、筆者オリジナル料理を振る舞えば、何度も「凄い!凄い!」の連発であったことを思い出す。従って、これまで、接待の時に個室で食した料理において、厨房側の失敗は一度もなかった。

 街場の食事処も、逸品を提供するところばかり。新屋敷には京料理「えのきぞの」、水前寺には鰻の老舗「水前寺東濱屋」がある。市内繁華街には、寿司の「都壽し」、チョップドビーフハンバーグとフレンチの「Bros.よしむら」、黒がらかぶ専門店の「美食 宮地」、ステーキハウスの「上通レンガ亭」や「バロン」などがある。

 その他、熊本ラーメンの老舗が多く、あちこちに店舗を構えており、S級、A級、B級何でもござれと、熊本市内はグルメ天国となっている。

 それに加えて、豊富な水(阿蘇山からの伏流水)に恵まれているので、熊本ホテルキャッスルなどは、部屋の水道水もそのままグビグビ飲め、その辺のペットボトルのミネラルウォーターと比較にならぬほど、旨い。

 更に、熊本県は極上の米(日本一を何度も獲得している米など)の産地でもあり、グルメ天国の礎(いしずえ)がしっかりと出来上がっているのである。

▼ビーフカレー(ランチ)※写真はイメージ

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西田親生@D&L
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