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人の心まで管理するなんて無理ですよ(;ω;)

企業向けに従業員のメンタルの向上を促進する為のサービス『emol work』のβ版を2019年12月2日にリリースしました。
リリースしてからこれまでに、『emol work』をご利用いただいている企業、利用していない企業、様々な企業の人事や管理職、経営者、従業員の方にお話を聞かせてもらう機会をたくさんいただきました。

emolとしては、一人一人が自律してメンタルケアをしていけることが理想でした。
機能改善の為にどんなことでケアをしたいかをヒアリングしました。
ヒアリングを重ねていく上で、管理する側と管理される側にすごい意見の相違があり、企業のメンタルケアに対する考えに違和感を感じ、emol workの進むべき方向などすっごい悩みました。
そのいきさつについて、このnoteでお話しさせてください。


企業としてケアしようとしていること

企業側として、メンタル課題を解決しようとする方法としては、このような考えが多かったです。

・事前に従業員のメンタル状態を察知して、人事やマネージャーがその不調者へ声をかけてあげる。
・事前に従業員のメンタル状態を察知して、専門機関で相談する

現状、メンタルサーベイでメンタル状態がわかったら、不調者に対して人が何かしらの介入をして解決しようという意見がほぼ全てでした。
その為に、個人特定したいという意見がすごく多かったです。

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個人を特定させてしまえば、もしかしたら売れるサービスをすぐ作れたのかもしれません。
でも、emolとしては安心して使ってもらえるサービスを作ることに重きを置いていたので、個人特定は絶対にしたくないことでした。

従業員側の気持ち

従業員の方にヒアリングすると、管理職や人事の人とは真逆のことをいいます。

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ヒアリングした人には、実際にメンタルサーベイを導入している企業も結構あり、ほとんどの人が自分の情報を開示することに抵抗感を抱いていました。
これは、従業員の方が上司や会社の人事に、安心して自分のことを話せる相手と思っているかどうかということが重要な気がしました。
心理的安全性が担保されていないから、なかなか本音を見せられないんではないかと。


管理する側と管理される側という関係に対する疑問

管理者や人事の方が考えていることが上手く作用できる企業は、もともと風通しの良く心理的安全性が担保された会社で、それができている会社は、そもそもメンタルケアするようなサービスが必要ないなと思うのですが、メンタルケアが必要な会社ほど従業員が正直に自分の状態を報告しないという問題がループしています

そこで私の疑問が一つ、
「メンタル状態知ったら、管理者は具体的にどういうケアをするのだろう?」
みんな口を揃えて、「個人特定したい」っていうけど、個人特定してもケアするのって難しいんではないだろうか??
そこで、実際にどのようなことをしているのか聞いてみました。

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心理的安全性が担保されているなら、声をかけてもらったり、飲みに誘われたらそこで悩み相談をして解決できることもあるかもしれないです。
でも、心理的安全性が担保されていない企業で、その段階まで行くのは難しい。
しかも、これからの世代は、飲みニケーションやタバコミュニケーションなんて通用しない世代が中心になってきます。

そして、もう一つの疑問が、、、
「いろんな従業員の相談にのっていたら管理者の人が疲弊してしまわないだろうか??」
人の相談を真面目に聞くのってかなり疲弊します。
ヒアリングしていると、従業員の意見にすごく耳を傾けている経営者は、逆に真っ正面から受け止め過ぎて疲弊しているようにも感じました。

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emolはもともと、人に人が依存しずぎることによって、また違う誰かが潰れてしまうこの連鎖を起こしたくないという思いもあり、システムで解決できるところはシステムに任せられるようにしたいと考えています。


心の面で人を管理することは難しい

結局、メンタル問題を管理して解決しようとすることが難しいのだと感じています。
解決方法がわからないのに、サーベイでメンタル状態を覗くのも記録する側からしたらストレスでしかないし、むしろ管理されることによるストレスが問題だと感じています。
誰のストレス値が何%あるということが重要なのではなく、ストレスの原因になっている"悩み"を解決へ導くことが重要で、それができないと根本的な解決にはなりません。
その為には、正直に自分の悩みを言えるチーム環境が重要で、その悩みを「否定されるかもしれない」、「悪く思われるかもしれない」というような心配があるから、正直に言えないこの状況が良くないと思います。

「自分のことを知ってくれている人がいる」、「自分のことを一緒に考えてくれる人がいる」という安心感のあるチームを作ることが第一ステップで必要なことであると思いました。

ヒアリングさせてもらった急成長中の企業で、とても理想的なチームがありました。
上下関係に縛られず、自分の状態を素直に言い合えて、だからといって人に依存するわけではなく自律し、困ったことがあれば自ら人を頼れる
そんなチームでした。
本当にこの会社は次世代の会社だなと感動しました。


今後の方向性

『一人一人が自律した組織を目指す』

もとから自律した組織を作ることはemol workのコンセプトではあったのですが、今のままでは実現できないなと感じたので、ヒアリングを重ねる上で気づいたことを参考に、もう一度考え直してプロダクトに落とし込んでいくことにしました。

"一人一人が自律した組織"を作るために、安心して発言でき、サポートしあえる環境"が必要である。

その為には、管理者という考えを無くしてしまった方が良いのではないだろうか。
管理者がいることによって、チームメンバーには2つの問題があるのではないかと思います。

(1)「管理者がどうにかしてくれるから自分は周りに関与しない」という自分のチームのことでも他人事に感じてしまう。
(2)「管理者は、評価する側だから正直には話したくない」という管理職に対する不信感を抱いてしまう。

この2つの問題を解決するために、

一人一人がチームのために考えて行動できる"自律心"を持つこと
自分の考えを発言しても大丈夫という"心理的安全性"を担保すること

この2つを促進できるサービスをemol workは目指すことにしました。
チームに悩みを素直に共有できて、管理者だけが責任感を持つのではなく、全員が自分ごとのようにしっかり考えて、解決に導いていける。
そんなシステムを提供したいと思っています。
ティール組織というにはおこがましいかもしれないですが、emolがその第一歩になれればと思っています。

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emolのミッション

『自律した強い心を育む』

それは、人を頼ってはいけないということではなく、まずは自分の芯をしっかりもった上で、人を助けることができ、まわりに惑わされない心をさしています。

私たちが提供したいことは、「人に頼ってちゃんと相談しろよ」ということでも「自分のことは自分の責任だからな」というような考えではありません。

私は、自分自身の悩みは自分にしか解決できないと思っています。
人に相談してアドバイスをもらってもそれを鵜呑みにするのは、なんだか根本的な解決になっていない気がします。
アドバイスを自分の中でしっかり咀嚼して納得できたなら、それは自分の考えとして吸収でき解決になったのだと思います。
"自律した"と言うのは、人に何も相談しないと言うわけでなく、相談しても相手の考えに巻き揉まれるのではく、相手の考えも自分のモノにして決断できることです。
自分のモノになった考えは、その後死ぬまで活かすことができると思います。

筋トレは続けないと筋肉がしぼんでしまうけど、一度身につけた強い心や考え方はなかなか衰えることがなく、ずっと続くものです。


emol workは生まれ変わります

メンタル状態を知ることではなく、もっと根本の "悩み" にフォーカスしたサービスとして、リニューアルします。
義務化がどうこうとか、会社の見え方がどうこうとか関係なく、本当にチームを良くしたいと思っている方々に届けばいいなと思います。



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