義父が転院するらしい<2>
病院での面談が決まったと連絡を受けた翌朝、夢を見ました。
私は男の人の役で、何かの用事で友人の男の人(タレントの誰かだったと思うけど忘れた)と一緒にフェリーか何かに乗ろうとするんだけど、
乗降のチェック係の人に「身分証を見せろ」と言われ、もたもた探している間に一旦チェック係の人がいなくなり、
出港までに戻ってくるのかハラハラしていたらギリギリで戻ってきて、
その時に見せたのは保険証ではなく、区役所から発行された「(医療費)限度額認定証」だった。
それで船に乗って、どこに行ったかわからないのだけど。
目が醒めてぐぐったら、船に乗る夢は吉夢で、引っ越しや転機を暗示しているらしい。
見せたのが「限度額認定証」ということは、これは義父の転院を暗示しているのか、そうするとそこそこ条件の悪くない病院なのかな、とポジティブに捉える。
まあ私、過去に散々吉夢が連続して、何事かと思っていたら知り合いの誰某の吉報だったということばかりで、あてにならない。
喜ばしいんだけど、私の運なら私にもちゃんと使いたいなとか思ったりもする。閑話休題。
面談前日
明日は、紹介された転院先候補、隣市にあるA療養病院の面談の日。
今週は特に何事もないな、と思っていたら、珍しく夫からラインが入る。
曰わく、「病院から、(義父の)靴下を持ってきてって言われた。家(義実家)にあるのか?」
あるよ。会社の帰りに寄ってくるのかと聞けば、
「あさっていく」(粗大ゴミの運び出しの立ち会いの日)
だったらわざわざ連絡してくんな、帰ってから言え。
義父の転院先候補に関しては、先日も退院調整さんから夫に連絡があって、
「(私たちが住んでいる)市にも二軒ありますよ」
ってことで、ただ予算的にはA病院よりちょっと高いっぽい印象だったそうだ。まぁA病院の面談が終わってから、改めて連絡と言うことになったらしい。
あんまり家の近くでもなんか気分的に嫌だなぁ。夫の仕事場は都内方面なので、あまりうちの近くまで来られると、結局車を動かせる私が主体になって動かなきゃいけない。
でもA病院は車必須だけど、新たな二軒の場所はどうなんだろうな。駅から近ければ、夫が主体で様子を見にいくことができるし。でも近すぎるのは心理的に(堂々巡り
義父もなぁ。90迎えて、そのまま自宅で倒れるか、緊急搬送されても長引かず、って感じに、当人もなんとなく思ってたはずです。よもや、最後の最後で県境越えて千葉県で最期を迎えるかも知れない、なんて思ってもいなかったでしょう。私たちもそうです。
そして骨を埋めるのは静岡。お墓があっちですからね。義父、人生最後の大移動ですよ、冗談言ってる場合じゃないんだけど。
帰って夫と話したら、
「靴下の話の後、また病院から連絡が来た」とのこと。
一件は、「吸水パッドがなくなるので持ってきて欲しい」。
もう一件は担当医さんから。
「口から食事をしても嫌がる」「点滴している」
いやいや、普通に点滴するって話だったし。
私、揃っての話し合いの時、「あんまり無理矢理食べさせないで下さい」って言っておけば良かったなぁって、後から思ったんですよ。むせて苦しい思いをするから嫌がってるんだろうし。
もちろん、病院的にはそうはいかないんだと思う。救急で運び込まれた患者さんが、一般の病院で入院するのだから、生かす方向で対処するのは当然です。
私も、今が自宅の近くで死ねる最後のチャンスなのになぁ義父、と思いながらも、転院が決まって、夫とT某(義父から見れば孫)と最後に顔を合わせるまでは頑張って欲しいなとも思う(私は別に会わなくてもいいです)。
最後に、なんとなくい雰囲気で会話して、なんとなくいい雰囲気でお別れして、それが最後の記憶になるならお互いにいいのではと思うのですよ。私は別に悪者で構わんし。私他人だし。
今日は面談日
A病院との面談は、今日の午後。
午前中、夫と買い物に行った車中で夫が突然、
「こっちで(義父が)死んだら、火葬とかどうなるの」
「住民票移しておいた方がいいの」
お、気づいたか夫。もちろん私にはとっくに想定済みです。
隣の市のB市は、市内在住者と市外在住者では火葬の費用は異なるけど、義実家の最寄りとたいして変わりはない金額で、控え室が無料な分むしろ安いかも知れない。
そして、住民票の移動は諸諸の手続きがついてくるため、今の段階ではもう賢くない。義父には、最後まで東京都民として生きてもらうのが面倒がない。公営住宅の住所問題もあります。都民のままで亡くなれば、六ヶ月猶予があるので、家財道具の処分はその間になんとかできます。その間の都内観光の野望も(鬼か
時間よりちょっと早めにA病院に到着。
でかい、思ってたよりでかいし、療養病棟と介護施設がおなじ敷地内。周りに何もないので余計に大きく見えます。
通されて待つことしばし。
社会福祉士さんは、まだお若い女性です。面談室に通され、最初は固い雰囲気で、病院の特徴について説明。この辺は丸暗記なんでしょうね。
少し話して、あまり老人に不自然な無理をさせない方向の方針なのがなんとなく判る。
料金的な説明の後、入院後、もしもの時のお話。
栄養がとれなくなった場合の、この病院での選択肢は、ふたつ。経鼻経管栄養か、中心静脈栄養。
どっちもいりません、とお答えしました。
今の病院でも、水分点滴と、食べられるものだけを口から食べるだけ。もちろん、それでは足りないのは判っています。でも、本人が嫌がるのに、無理矢理食べさせるのも可哀想だと、「私」は思っている。頷く夫。
そういう状態でも、頑張らせたいという家族は多いそうですが、
「当病院は、どちらかと言えば、頑張らない方の方針です」
本人が嫌だと言えば、無理強いはしないとのこと。自分に甘い義父には、そのほうがいいでしょう。
話している間にだんだん距離が詰まってきて、夫はこの病院が気に入った様子です。
「ほかにも検討して、ご連絡くださる考えですか?」と聞かれたので、私はそうだと答えたのですが、夫は、
「いやいや、ここでお願いしたいです」
今の病院の「二ヶ月」というくくりを必要以上に気にしてるんだなと思いますが、まぁほかの何件かを検討しても、一番肝心な費用面ではここより秀でるとも思えず。実子がいいっていってるし、いいんじゃないかな。私も、家から近すぎるよりは、ほどよい距離感があっていいかな、とも思うし。
料金は、まぁ想定内に、義父の年金からでは微妙に赤字です。ですが、これが平均値で良心的な値段なのも判る。仕方ありません、不足分は予備費として確保してある封筒から出すことにします(もちろん死後に諸諸の回収を経た上で返して貰います)
また、ペースメーカーの定期点検に関しては、なんとメーカーの技術者が出張してくるので、心配無用とのこと。そんな制度があるんですね、びっくりですよ。またひとつ学びました。
あとは、病院間の移動の問題ですが(これも、今日になって夫が気づいたらしい。ちょっとは先を読めるようになったか)、介護タクシー利用になるでしょう。上手くいけば、区から補助が出るかも知れませんが、これはあまり期待しない方がよさげです。
病院側の状況から、そんなに長期間待たずに転院できそうですが、なんにしろここから物事が動くのは週明けになります。
目先のイベントは、明日の義実家の大型家財の運び出し本番。これは、私は行かず、夫だけの立ち会いです。手回しは万全、夫の大きなやらかしがない事を祈ります。
次の、義実家への出動は来週。見守りサービスの会社移行に伴う、設備交換の立ち会いです。さあ、どう動くか。乞うご期待。
彩雲を見る
帰りはもう夕暮れ。
昼の曇り空が一気に晴れて、雲と晴天の境目がくっきり見える空に、夕陽を受けて雲が虹色に輝いています。彩雲です。
吉兆ですね。まぁわりとよく見られるものではあるそうですが、幸先が良いと思うことにします、どんな形にかは判りませんが。
……と思ったら、帰りがけに、義父の靴下(介護用的な)ものを見に洋品店に寄ったら、その店の近くのドラッグストアが移転前の売り切りセールをやっていて、ほぼ全品二割引のにぶちあたり、ちょっと散財してきました。吉なのか凶なのかさっぱりだ。
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