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父が亡くなった話<3>

新幹線の車内では、特にトラブルはなく、
爪を切っているご年配の方を間近で見たくらいですね。
ていうか、せっかくの長距離、快適な温度の新幹線の車内なのに、やはり眠れない。
本なんか読めないだろうとは思っていたけど、眠ることもできない。
持ってきたパンをかじり、仮眠のまねごとを断念した後は、ダウンロードした動画を見ていました。コナンの、本庁の刑事恋物語編の前半分。後半は帰りに見ます。

駅に着いたら、末妹のOが待っていました。
末妹は、実家の隣県に再就職し、父の死去の知らせを受けたあとは、車でその日のうちに実家に戻ってました。
聞けば、安置されている父を一人にはできないので、会館で待っているとのこと。
お弁当や、救急搬送の際に一緒についていてくれたいとこへのお礼のお菓子を買い、父が安置されている会館に向かいます。

会館は、母の時にも使った、実家から徒歩圏内にある小さな建物です。
別の本館なる建物が国道沿いにあって、
式や安置の予定のある日以外は基本的に無人、夜間も本館からの管理になるのでスタッフがいない、静かな所です。

割り当てられた控え室は、母の時にも使った、広くて綺麗な部屋で、
あのときは、母方の親戚やら次妹Wの夫やらとでいろいろ賑やかかつギクシャクしてましたが、
今回はもう母方の親戚には知らせないと暗黙の了解ができており、完全に遺族の貸し切り状態。
しかしついて驚いた。

私の実家、地域の風習で火葬が先、その後に一連の式が行われます。
前回は母の遺骨を安置していた、控え室の和室に、
父が寝ている。

びっくりしたわ。
遺体は別の安置室があると思ってたのに、ここは控え室がそのまま安置室になるのです。
母の時は、一旦自宅に帰り、出棺してから会館に移ったので、この流れは経験してませんでした。

枕飾りとかを含めて、もう祭壇みたいな状態で、
義父義母の時より既に豪華なんです。
別に式場使わなくても、全部この部屋でいいんじゃないかな。参列するのT某といとこを含めても最大5人だし。
ということを先に妹たちがスタッフさんに聞いてたんだけど、ここはあくまで控え室ということでした。なんかもったいないなぁ。

到着してすぐ、スタッフさんが現れ、父の顔を見るのもそこそこに、日程の打ち合わせです。
お弁当を食べる暇もないけど、T某のシフトの関係で、遅くても午後二時までには日程を確定させて知らせておかないと、彼の予定が確定しないのです。

で、つらつらとスタッフさんの提案を聞く。
提案では、友引が入るので、火葬は早くて28日、その日に通夜、翌日29日に葬儀。

ここで物言いをつける私。
「二日に分けずに一日で済ませてほしい」
一瞬返答に詰まるスタッフさん。

ちょっと補足すると、

父は自分でこの葬儀社に入会し、互助会費を積み立てていましたが、
私はその気になれば、この葬儀社を通さず、小さなお葬式で格安に済ませて、後日解約して返金することが可能なことを、これまでの経験で知ってました。
それをしなかったのは、お寺さんとの兼ね合いです。

母が亡くなった時、面倒な母方の親族に惑わされ、父は本家と同じお寺の檀家に入り、夫婦揃って永代供養の手続きをしていました。
しかし実は、永代供養の申し込みと、檀家になることは別物だったんですね。
檀家になる必要はありませんと、はっきり唄っているお寺だったんです。

会館を使えば費用が跳ね上がるのを知っていて、この葬儀社を使うことを反対しなかったのは、(まぁ私が知った時には既に、妹が連絡してしまっていたのもあるんだけど)、檀家として(もちろん父だけ)、このお寺のお坊さんを手配してもらう必要が出てくるのが一番の理由でした。
お金は父の懐から出るわけだし、うちの実家と義実家では、経済事情も違いますからね。妹たちの、社会的な対面も、まぁ考えなきゃいけないし。

話を戻すと、
「一日でできるかは、火葬場のあきがあるか、なおかつお寺さんに可能かどうか、聞いてみないと判らないです」
とスタッフさんは確認のため一度退出。

でも、わたしたちは、お寺さんの方はとても融通が利くことを知っていたので、あとは火葬場事情かな、と。

少しして、
「お寺さんは大丈夫です、火葬場も押さえたので、朝から忙しいですが、ご希望通り一日でできますよ」
とのこと。

日程としては、26日に納棺、友引の27日を開けて、28日に火葬と葬儀を済ませます。

しかも、永代供養の手続きは終わっているので、葬儀の後に、埋葬まで済ませられるそう。これは予想外でしたが、何度も遠方から出向くのは大変なT某には助かる。
それに、友引でロスする一日をカバーできます。だらだらとT某を長居させなくても済みます。

日程をT某に知らせたところ、
忌引きの申請ができたので、明日の早朝、私と同じ時間でこちらに向かうとのこと。
火葬になる前に、父の顔を見せてあげることができそうです。

永代供養についての補足

父がお寺さんに申し込んだ永代供養は、夫婦揃って永代供養塔に納骨、位牌は永代供養者のための位牌堂に保管され、月命日、命日の時には必ず供養されるというもの。(ひとつの位牌に二人の戒名が並び、生きている人は赤字で書かれます)
一度支払ってしまえば後払いするものは基本的になにもなく、戒名も(生きている人が自分で頼むなら)生前から決めてもらうことができます。
墓はなく、遺骨は永代供養塔に納められ、一度納めてしまえば遺骨を回収はできません。

今回、お寺さんとのお金の話はもう終わっているため、お坊さんが来るたびに都度都度お布施を用意する必要はなく、
「式が終わって四十九日の打ち合わせをする際にでも、お気持ちをお渡ししてください」
とのことなのです。
母の時との慌ただしさとは全く違う簡潔さです。

つづく。

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