我が家の中学生が文学に目覚めたきっかけは…
我が家の2人の中学生は最近、文学作品を読むことにハマっています。
芥川賞を受賞した「推し、燃ゆ」「むらさきのスカートの女」、そして「汚れた手をそこで拭かない」など、次々とお小遣いで本を買って読んでいます。
これまでにないことで、当初、母は大変驚きました。
私の中学生時代
思春期に文学少女を気取っていた私は、10代の頃、宮沢賢治や太宰治を夢中になって読んでは、少し浮世離れした雰囲気をまとい、異質な存在…
ではなくて、本当に普通の、普通過ぎる中学生でした。
絶世の美少女でも、身体が弱い、白血病でもなかった私は、本当にどこにでもいる普通の中学生だったのですが、文学作品を読むことで、儚い美しさ、壮絶な魂に憧れていたのです。
思春期特有の、あの「普通すぎる自分がイヤでイヤで仕方ない」という、どうにもできないもどかしさを、私は文学作品を読むことで、なんとかやり過ごしていたように思います。
ネットもなければ、テレビさえも一家に一台しかも親の管理下にある状況では、本を読むくらいしか選択肢がなかった、というのも大きいです。
そんな中学生時代を過ごした私から見れば、今の子どもたちは大変恵まれています。
情報も娯楽も選り取り見取り。少し前までも我が家の中学生も、ヒマさえあれば買ってもらったばかりのスマホをつついていました。
長女の文学宣言
が、ある日、突然、長女が
「推し、燃ゆ」読んでみたいの、買っていい?
と、もちろん!常々、文学作品を読むのは大変良いことだと思っていた私は大賛成し、すぐに近所の本屋さんまで自転車を走らせました。
(私は街の本屋さんを応援したいので、本はできるだけネットではなく本屋さんで買うようにしてます)
それからも長女は度々、読みたい本をリクエストしてきたので、私は調子にのってどんどん買い与えていきました。
意外なものをきっかけに文学に目覚めていた
小学生の頃には教科書以外の活字は読んでなかったのでは?と思うくらい本に興味のなかった長女が、いったいなぜ、文学作品に目覚めたのかと思ったら、きっかけはTik Tokでした。
なんでも、たまたま、Tik Tokで本の紹介をしている動画を見て、おもしろそうだと思ったとか…。
なるほど、いかにも今時の子どもらしいきっかけです。
それでも、読んでみたら面白かった、と、明確な答えが与えられない、答えは自分で考えなければいけない文学作品を次々と読み、何度も読み返しているのは感心です。
Tik Tokは、40代の私にはついていけない世界だと思って一度も覗いたことはありませんが、文学作品の魅力を伝えてくれる人がいると知って驚きました。
恵まれた時代に生きる今の子どもたちにも、思春期だからこその迷い、悩み、不安に襲われることがあるでしょう。
こんな娯楽に溢れかえった時代でも文学作品は今も、思春期の子どもたちの悩みに寄り添ってくれている、元文学少女の私には、そのことがとても嬉しいです。
次女は…
最初こそ、急に本を読みだした長女を気味悪そうに遠巻きに眺めていた次女でしたが、長女からの「意外とおもしろい」の声を頼りに、少しずつ、文学に興味を持ち始め「なんかよく解らん」と言いながらも、長女の勧めた本を読んでいます。
いつの日か親子で文学批評なんてできたら楽しいな~と、私は期待しています。