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火垂るの墓 野坂明如

大学1年生の春。深夜に読みながら号泣した小説。
太平洋戦争で家族を失なった兄妹が、親戚に身を寄せるも肩身の狭い思いをし、やがて捨て去られた防空壕で暮らすことを決める。献身的に妹を世話し、生きるために必死な兄。無邪気で幼い妹。
14歳と4歳で生きようと思った。
やがて栄養失調から妹は亡くなり、失意の兄も生きる希望を無くし、駅で死に絶えていく。
ジブリの描いたアニメでは、サクマのドロップの缶に入れられた妹のお骨を、駅員が主人公の手元から奪い野原に投げ捨てるシーンから始まる。缶が落ちた先からは無数の蛍が舞い上がり、兄妹の幻影を映す。
利益を求めて奪い合う国々。
死に行く人々。
失われていく命、消えていく想い。
戦争は人を幸福にしない。何も与えない。惜しみなく奪っていく。
だからこそ、繰り返してはならない。
しかし、、、。
死に行く兄妹に涙すると同時に、対極的に描かれた冷たい親戚。ここにも目を向けて考えたい。
我々は弱きものに温かくあれるのか?
自分が困っているときにも、他人を助けてあげられるのか?
人間性について考えるとき、私は常にそう感じてきた。
私はいつもそうありたいと、生きてきた。
18の歳に東京に出てきて初めて読んだ本。
それが、この『火垂るの墓』でした。

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