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ドストエフスキーの生活 小林秀雄
「僕にはねぇ、結果ドストエフスキーという人がわからなかったんだよ。キリスト教というものがだね、どうしてもわからなかった。」
近代批評を確立した巨匠は、アイロニーのこもった一言を文中に散りばめる。分析⇨理解⇨再統合のシステムは、人間の文化的範疇を超えるものであり、生半可な理解では、物事の本質はわからないよ、というテーゼある。
わかったふりをすることはない。
また、どうしても正解に把握できるものでもない。
そこに、万人なりの万人の解釈と、考え抜くことの必要性が述べられているように感じた。