カラアゲちゃんさなぎになった。
我が家のアイドルであるカラアゲちゃんが無事にさなぎになった。
カラスアゲハなのでカラアゲちゃんである。べたでごめんね。
さなぎの姿かたちは通常のアゲハチョウと変わりないが、金縁が入っているところにカラスアゲハの風格を感じる。もっともそれが普通なのかこの個体の特徴なのかは初めて見るのでわからない。
カブトムシの飼育ケースで飼っていたので蓋の裏側でさなぎになってしまった。
しかたないので蓋だけ外して傍らに置いている。この時期にさなぎだから越冬組だろう。すると来年の四月ごろまでこのままである。まあよかろう、さなぎは手間入らずだ。餌もいらなければ排泄物の掃除も必要ない。これほど手軽なペットはちょっと他に見当たらない。
夏のさなぎであれば激しい変化がさなぎの中で次々に起こるのだろうが、越冬組はただじっと眠っている。秋すぎて、冬すぎて、本格的な春が来るまで。
珍しいというだけで特別扱いされる。同じアゲハでも普通のアゲハは死ぬほどいるのでどちらかというと駆除対象である。それはつまり山椒の木を守るために駆除する。ところが同じ食性なのにカラスアゲハは保護され大切にしている山椒の木を切ってまで餌をやり育てている。希少価値というものは人間にとって特別な感情を呼び起こすものらしい。仏教ではそれを煩悩と呼んでいる。
ナミアゲハにしてみれば、「おい、なにが違うんだ責任者でてこいッ!」と抗議ものだろう。わかるよわかるよアゲハくん。同じ人間同士だってこんなことしょっちゅうやってんだからと言ってみたところでわかってもらえまい。せいぜい人間って馬鹿なんだなと思われるのが関の山であろう。
ともあれ無事にさなぎになったのだ。美しい羽を開くその日を楽しみに待とうではないか。
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