夏のおわり
ぼくは夕方になると空を見上げて、夏らしい雲を探した。
昼間は威勢よくにょきにょきと伸ばしていた入道雲が、夕方になるとどこかへ消えてしまうことも珍しくない。或いは西の空に薄い雲が広がってせっかくの太陽を隠してしまう日だってある。
日差しこそ暑く感じたけれども空気が乾燥して風が吹けば涼しい。ぼくはすでに猛暑日の熱風を懐かしんでいて、ああ今年も夏が終わるんだなあと寂しい気持ちになっている。
ムクドリの大群の写真を撮ろうと思っていたところに台風がやってきて、集結しはじめていたムクドリたちは早々と出発したかどこかへ行ってしまった。賑やかな囀りと一斉に飛び立ったときに立てる羽音を聞くことは今年はもうないのだろう。季節の風物詩を見逃した。
空は一日おきに晴れたり雨が降ったりを繰り返して、高気圧と低気圧のせめぎあいにいよいよ秋を感じよう。
もうこれが今年は最後かもしれないな、と思ってぼくはシャッターを切った。
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