オールドデジカメ思い出話 その4 Fujifilm Finepix F30
富士フイルムのFinepixシリーズ最後の輝きがこのF30である。最後にして名機である。この後にマイナーチェンジ版が出ることには出るが、事実上最後と言ってもいいだろう。栄華を誇ったFinepixはひっそりと幕を閉じる。世の中がコンデジを必要としなくなったのである。それはもちろんカメラ付き携帯電話のせいである。富士フイルムはその後Xシリーズを立ち上げ、懐古趣味的高級路線に舵を切ってそれが今に続いている。
F30は時代の要請により大型化したモニターを備えた630万画素のカメラである。F700は好きだったがモニターのサイズに耐えられなくてぼくはF30に飛びついた。このカメラは本当に良いカメラだった。
まずサイズがよい。手の中に収まるサイズで持ち運びがまったく苦にならなかった。
次にデザインがよい。L字型のプレートがデザインの主要素になっていて、これがなかなかにかっこよかったのである。
操作性もよかった。これはぼくのようにずっとFinepixシリーズを使い続けてきたから言えるのかもしれないが。
画質はもちろん文句なかった。スーパーCCDハニカムHRを搭載していたが高感度ノイズにもまあまあ強かった。強かったといっても当時のレベルでの話である。センサーサイズが1/1.7型で当時のデジカメの中では大きい方だったからかもしれない。もちろん高感度に強いというのもスーパーCCDハニカムの売りでもあった。
630万画素もあればもう十分とさえ言われた。オリンパスなどは500万画素のE10というカメラを発表したときに、もうこれ以上高画素化は行いませんとまで言い切った。もちろんそれはウソというかなかったことになっちゃうんだけど。そのくらい当時はこのくらいの画素数で十分説があった。これは昔からあって今でもある話である。必ずもう十分というひとが出てくる。最近では8K不要、4Kで十分という声がある。ちょっと前は4K不要、HDで十分だった。まあそんなものである。ぼくは8Kがスタンダードになる時代を待っている。
F30はまったく文句のないカメラだった。だがしかし。しかしである。時代は1000万画素を超え、2000万画素時代に突入した。ぼくはF30の後継機を待っていたが、富士フイルムがFinepixをやめてしまった。いや、やめてなかったよという声が聞こえてきそうだから先に書いておくと、実はF30の後釜としてF600EXRを買っている。画素数は1600万画素あった。ところがこれはもうかつてのFinepixではなかった。ただの安物だった。Finepixの気品は微塵も感じられない駄カメラだった。FinepixはF30を最後に終わったといっても過言ではないのである。そしてそのあとに立ち上げたXシリーズはレトロ調すぎてぼくは好きになれなかった。そこにソニーからRX100が登場する。
RX100は高級コンデジの先駆けである。ぼくはF600EXRを二束三文で売り払ってRX100を購入した。RX100はとてもよいカメラであったが、残念ながらもう手元にない。落っことしてバラバラになってしまったからである。それはまるでショートしたR2-D2のような有様で、実は一度落として修理してまた落としたのであった。デザイン優先で滑りやすいボディだったのだ。わかっていたが二度落とした。そして二度目で諦めた。
RX100はその後ソニーお得意のMark形式で後継機を増やしていくが、新しくでるごとにデブになっていく姿に耐えられなくて魅力を感じなくなっていった。そこで目をつけたのがリコーのGR2だった。APS-Cサイズのセンサーが生み出す画はこれまでのコンデジとはまったく違うものだった。もう戻れないと思った。GR3が出た瞬間GR2を下取りに出して購入し、現在がある。リコーに始まって、リコーに戻ってきたのである。GR4が出たらGR3を下取りにだして買うだろう。
というわけで今でも残っている古いデジカメについて書いてみた。PentaxのOptio Sというカメラを使ったこともあるが、あれは下取りにだしてしまって手元にない。小ささが売りでデザイン的にもなかなかクールなカメラだったという記憶があるだけだ。
ぼくは気に入るとわりと長く使うタイプなのでそれほどカメラの数が多いわけではない。今はGR3をとても気に入っているから後継機がでるまで使うだろう。それにGRは唯一無二の存在だから代替品になるようなカメラがないというのもある。よくAPS-Cセンサーを搭載しているというだけで他社のカメラと比べたりしているが、はっきりいって比較にならない。ライカがいいひとにはライカ以外眼中にないのと同じで、GRがいいひとはGRしかないからである。
このシリーズではコンデジに絞って書いている。レンズ交換式カメラは新しいカメラを買うたびに古いのを下取りにだしてしまうため手元に残っていないのであった。
次回は番外編として唯一所有しているフィルムカメラについて書いてみたいと思う。