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料理は切れる包丁で。

料理が趣味である。
料理をしていて一番のストレスは包丁が切れないときである。だからぼくはせっせと包丁を研ぐ。
切れない包丁を使っているひとが実に多い。実家に帰ると包丁のあまりの切れなさ具合に閉口する。

昔は切れない包丁ほど手を切る、と言われたものである。ようするに無駄に力が入って滑って手を切るのだ。ところが最近では切れない包丁に慣れたひとが切れる包丁を使って手を切る。いつもの要領で力を入れたら思いの外スパッと切れて勢い余って手を切るのだとか。そうなってくると言葉も言い換えないといけない。切れる包丁ほど手を切る、と。

包丁研ぎなど15分もあれば済むことだし、プロの料理人と違って家庭では使用頻度が低いからたま〜に研げばいいだけなのだが研がないひとがほとんどではないだろうか。切れない包丁を使っているひとはいくつかに分類される。

まず、研げない。研ぎ方をしらないひとである。昨今Youtubeでも見れば包丁の研ぎ方などいくらでも上がっている。それをみてやってみればいい。実は大して難しくない。

次に、研げない包丁を使っている。正確にいうと研ぎにくい包丁である。それはなにかと言えばオールステンレス製の包丁である。ステンレスは錆びにくくていいのだけど非常に硬い素材でもある。ステンレス刃対応の砥石を使ってもかなりの労力を要求される。たぶん研ぐのがいやんなるだろう。

だからといって誰もが日本料理店よろしく鋼の包丁を使えばよいかといえばそうではない。あれは手入れ(乾燥)を怠るとすぐに錆びる。おすすめは刃は鋼だけど両サイドをステンレスでサンドイッチした構造の包丁である。これなら研ぐ部分は鋼なので研ぎやすいし、表面が一気に錆びることはない。一本1万円くらいではないかと思う。高いと思うかもしれないが、それで何十年も使えることを考えれば悪い選択ではない。我が家の包丁は妻が嫁入り前から持っているもので、20年以上使っている。研げば減るのでだいぶ高さが低くなってきたがまだまだ現役である。

料理人が丸い細長い棒に包丁をシャッシャッとこすらせているシーンを見たことがあるだろう。あの丸棒はヤスリの一種で研いでいるのとはちょっと違う。あれは包丁の刃をノコギリのようにギザギザにすることで鋭利さを獲得している。だからあの操作を行ったあとに切るものは肉だけなのだ。ステーキ肉を切るときに出るギザギザのナイフと同じである。家庭の包丁は肉も切れば野菜も切るので簡単だからといってあれでガリガリやってはいけない。

今日も包丁を研いだ。切れる包丁は気持ちがいい。

下の小さなナイフは30年くらい前にドイツ人の友人がくれたもの。ナイフの町ゾーリンゲン製。だいぶ形が変わってしまったが材がよいので非常によく切れる。

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ちいさな島
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