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在宅医療について考える

死ぬ時のことを考えてみてください。あなたは死ぬ時、どこで死にたいですか?

●病院で医師や看護師に囲まれ、最後まで治療を受けながら死ぬ

●自宅で家族に見守られながら安らかに息を引き取る

多くの人が後者を理想と考えていると思います。しかし、現実は違います。

現在の日本では自宅で死を迎える人は13%と減少傾向、施設死は9.2%で増加傾向にあります。病院死は75%と4分の3の人が病院や診療所で亡くなるという現実があります。

私自身、医師として働きながら、病院で亡くなる方を何人も見てきました。

救急車で病院まで運ばれ、入院になる前に亡くなってしまう方。

入院になってもICUで集中治療を受けながら、状態が安定しないまま1週間後に亡くなってしまう方。

このような方たちにとって、最後を病院で過ごすことは幸せなのでしょうか。

特に、今までいろんな病気と戦ってきながら90歳など高齢まで生きてこられた方の中には、病院での過剰な延命治療を望まれない方もいらっしゃると思います。

日本では救急車を呼ぶと、救急救命士は医師の判断があるまでは、蘇生し病院まで搬送しなければならないという義務があります。なので元々ご本人ご家族に延命治療の希望がなければ、救急車は呼ばないほうが良いのです。

しかし、ご家族にとっては、これは助けられる状態なのか、それとももう助かる見込みがないのか、判断がつきません。助けたいという気持ちは当然ありますし、何かしてあげないといけないという気持ちが出てきてしまうのも無理はありません。

在宅医療がもっと進んでいけば、どのような時に救急車を呼んで、どのような時に訪問診療医を呼んだらいいのかということを家族と共有しながら医療を進めることができると思います。

急変時には救急車ではなく医師を呼ぶことができ、家族と本人の希望に沿った上で、延命治療をするのか、それともこのまま様子を見て安らかに眠っていただくのか、という選択ができます。

多くの人に在宅医療を広げていきたい、そして私もそこに関わりたいという思いでこれから動いていきます。