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妄想と現実と深層のあわい

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ちぃまゆちゃんの頭の中、人生、ノンフィクション、フィクション
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#掌編小説

その便箋は分厚くて、読むのに苦労するな、とほんのちょっと思ったことは秘密だね

貴方に手紙を書くのは2度目ですね、という書き出しだった。 君はいつもあだ名で呼ぶくせに手紙となると貴方と僕を呼ぶ。 その理由を聞いたことは無かったけれど、おおかた昔の文体が好きだから、そんなところだろう。君はとても影響されやすくて、でもそれを直ぐに自分のものにしてしまうから怖いなと思ったことがあった。 僕のことを愛しいと思う気持ちを、惜しげも無く認めた長い長い手紙は、恐怖のようであってそこはかとない愛で満たされていた。 何度も読み返してはいないけれど、特徴的な文体が目に焼

届きませんように

ある時は、あの娘だけを愛し家庭を作るのが夢だと言う人に、自分のことを考えて欲しいと願い ある時は、自分ことを一番大事に思って、自らの夢を追う、振り向くことの無い背中を遠く感じて またある時は、あの人の些細なこと迄すくい上げる彼を愛しく思う 所詮ないものねだりで我儘だ 結局どこも何も、巡り巡るのだと、柔らかな風の春の日に思う 恋心と、云うにはまだ冷たいものだ 底冷えする心にまだ引き摺られている 重たいものは持ちたくないのに何故手放すことが出来ないんだろう 好きになった

タバコ

時計の針が深夜2時を指す。 いつもよりも早く家に着いて、時計を見ると0時前だった。 早く寝ようとしていたのに、いつの間にかいつもと同じ深夜2時。 布団に入る前、換気扇の下で煙草に火をつけた。 初めての煙草はキャスターマイルド。 同級生がくれた銘柄だった。少し大人びて見えた彼を、あたしは密かに好きだった。 優しくて頭もいいけれど、先生に不遜な態度をとる彼に、幼いあたしは惹かれていた。 罪悪感のままに吸う煙草は、とても苦い。 幾度か吸っていた銘柄はもう覚えていない。覚えている

センチメントを覚えていたい

いつもの最終電車は何故かとても空いていて、楽に座ることが出来た。 ただ座った時、自分の体の重さを感じた。 初めて歩く道はとても新鮮で、何だか旅をしているようだとワクワクしたりするけど、それに慣れたりすると、普通を見失ってしまう。 その気持ちを忘れてしまう。 それだけではなくて、慣れたあとの気持ちが「普通」だと思ってしまう。忘れてしまう。きっととても大事なものだったとは思うのに。 その道とわたしとあなたに、しっかりした距離があったことを忘れてしまう。 わたしはいつもせめ