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『「好き」を言語化する技術』を読んだら自分の考えがいとおしく思えるようになった話
今回の題材はこちらの三宅香帆さんの著書だ。
SNSに何かを投稿する時、自分の投稿を作る前に世間の意見を調べてはいけない。
自分の言葉が消されてしまうから。
自分の中に湧き出た感情を今ちゃんととらえて言葉にするのが大事だと、本書の著者は言う。
わたしはまさにこれをしていた。
例えば飲食店の感想を書こうとするとき。自分が「これおいしい」と思ったものが他の人はどう思っているのか先に検索するのだ。
同じ意見を見つけると、「いまさらわたしが書かなくてもいいか」と思う。
反対意見があれば「ひょっとして私の感覚がおかしい?」と自分の意見に自信が持てなくなる。
自分の書きたかった言葉がふわふわどこかに飛んでいって消える。
いいことは無い。
この本を読んだあと、いくつか本のレビューを書いた。
これまでなら投稿前に必ず世間のレビューを検索する。
でももうしないと決めた。
少し戸惑いながら、気持ちの言語化を進める。
自分の言葉で、ふさわしい言葉を探しながら文を組み立てては分解し、分解しては組み立てなおす。
自分から出た何の影響も受けていない言葉は、心の底の思いであり、自分ですらしっかり湧き出たタイミングで捕まえておかないと消えて無くなってしまうのだ。
何一つガイドのない真っ新な状態から色を付けていくような作業に不安定さを覚えながら。「言葉を紡ぐ」とはこういうことだと実感するところだ。
表現に自信が持てなくても、そのうち力はついてくると信じて。
ゴロがいい言葉や、ありきたりな言葉、かっこいい言葉、もっともらしくまとまる言葉でなくていい。
誰かのまねではなくて、誰かの言葉のアレンジでもなく。
わたしから出た言葉を大事にしよう。