地域新聞社のママ社員が作る育児情報誌「まま・ここっと」で虐待のない世の中を創る!
地域新聞社では週刊のフリーペーパー「ちいき新聞」の他にも、さまざまな媒体を発行しています。
2022年春に創刊し、3年目を迎える「まま・ここっと」は、千葉県の幼稚園・保育園で、園からのおたよりとともに配布される、保護者の方向けの情報誌。
年4回、季節ごとに子育て中のご家庭へのお役立ち情報を発信しています。
作っているメンバー4人は全員、未就学児を子育て中のママ社員!
自分たち自身も育児と全力で向き合いながら、「虐待のない世の中を創る」という目的の下、冊子作りに奮闘しています。
9冊目となる2024年春号の発行を前に、これまでの歩みを振り返ってもらいました。
座談会参加者
どうしてもやりたい! 思いを貫いてこぎつけた創刊
―まず創刊の経緯から教えていただけますか?
鈴)以前から漠然と育児関連の冊子をやりたいなという気持ちはありました。一人目の出産で産休を取って実家に帰省しているとき、「まま・ここっと」の滋賀県版を偶然見かけて。
―「まま・ここっと」は全国展開している冊子なんですよね。
鈴)はい。育児系の冊子はたくさんありますが、「まま・ここっと」は各自治体の子育て関連部署に正式に認可してもらっている、しっかりした媒体なんです。
―復帰直後に、その千葉県版を立ち上げたんですか?
鈴)それが、「やらせてください!」と掛け合ったんですけど、会社側は「初めての明けなんだから、いきなりそんなに無理しないで」と気遣ってくれて。でも諦めきれなかったので、思いはずっと温めていて…。2年たってようやくOKもらいました。
―情熱がすごい。
鈴)自分でやりたいと言った以上、もう逃げられない。しっかりやらなくては、と責任を感じています。
新媒体立ち上げという冒険の始まりは仲間集めから
―正式に発行が認められたのが2021年10月13日。で、発行は翌年4月。たった半年でのスピード発行は驚きです。まずどのように動きましたか?
鈴)自分一人で形にするのは無理だろうと想像がついたので、企画とデザインを誰にお願いしようかと考えたとき、迷いなく浮かんだのが山口さんと蜂谷さんでした。
―お二人はその時は育休中?
山)9月に2人目を出産したばかりなので産みたてほやほやの時でした(笑)
実は産休に入る前、もう「ちいき新聞」での仕事はやりきった!という気持ちで、ある意味燃え尽きていたというか…。子どももかわいいし、今回は長く育休を取ろうかなと思っていたタイミングでの「まま・ここっと」。何それ!面白そう!ってなって、実質半年もたたずに復帰しました。
―蜂谷さんは誘われた時は…?
蜂)育休明けてすぐのタイミングで、亜由子さんから熱いラブレター…長文のお手紙をもらいました(笑)
山)長文の手紙!?
鈴)いやいや、「まま・ここっと」の見本誌を送る時に、付せんにちょっと書き添えるぐらいのつもりだったのが、書いていたら止まらなくなって。
―熱い思い、どう受け止めましたか?
蜂)うれしかったですね。育休中は育児情報冊子を見る機会が多くて、「こういう媒体をやりたいな」という思いが芽生えていたんです。でも地域新聞社ではそういった媒体は手掛けていない…だから、育休取った分を仕事でお返ししたら、その後の転職も視野に入れていたんです。
―辞めていたかもしれないってことですか? 危なかった!
蜂)そんなときに熱いラブレターとともに「まま・ここっと」が送られてきて…。「…これじゃん!」って思いましたね。ベストタイミングでした。
―皆川さんはいつから「まま・ここっと」チームに入ったんですか?
皆)創刊号が出たときは育休中だったので、2年目からです。チームに入る前は読者モデルとして参加していましたが、その時は一読者の立ち位置でした。
鈴)でも毎回LINEで感想送ってくれてたし、「特別な読者」って感じだったよね。
皆)それで、育休明けぐらいのタイミングで声をかけていただいて…今に至ります。
「これいいね!」が一致!同じ方向を見据えるチーム
―デザインにはどういうこだわりがありますか?
蜂)育休中に見ていた育児冊子の優しい雰囲気に自分自身が癒やされていたので、見てくれる人が癒やされるような優しいデザインを意識しています。
鈴)もうデザインに関しては蜂谷さんに全てお任せです。
山)こちらの意図を酌みつつさらに期待を超えてくるので、「このデザイン最高!」「惚れるわー」みたいなやり取りを毎回してる気がする。
皆)いつも表紙を3案ぐらい作ってくれるけど、選ぶ時だいたいみんな意見が一致しますよね。
山)このチーム、企画もデザインも、みんなが「いいじゃん」って思う方向が一緒なの。
鈴)逆に、あえてちょっと横やりを入れた方が、いい議論ができるかもしれない。そう思っちゃうくらい一致する。
山)でも迷いなく自分たちが面白いって思っていることは、読み手にも絶対伝わるから、それでいいんだと思う。
―企画はどんなふうに考えるんですか?
山)チームのみんなのこと思い浮かべます。それぞれが母親なので、「みんな何が必要かな?」というところから。普段の生活や会話の中からもアイデアが浮かんだりします。
―特に思い出深い企画はどれですか?
鈴)どれもエピソードトークできるぐらい濃い思い出がありますね。
泣く子も黙る…とは限らない表紙撮影
―「まま・ここっと」にはたくさんのラボママさんが読者モデルとして登場していますね。
蜂)ラボママさんたちの活躍なしでは語れません。
鈴)本当にありがたいです。撮影の関係で、結構早朝に現地集合をお願いすることもあるのですが、快く協力してくださって。
皆)撮影のために、お子さんの服を新調して臨んでくれた方もいらっしゃいましたね。
山)ご協力いただいた分、しっかり楽しんでいただけるように心がけています。実際、「撮影がいい記念になりました」っていう声もよく頂くんですよ。
―ラボママさんのお子さんたち、キッズモデルも大活躍ですね。でも小さいお子さんの撮影は、なかなか思い通りに進まないこともあるのでは?
山)長時間にわたるとお子さんも疲れちゃうのでね…。一番大事かつ大変なのは表紙の撮影。子どもたちが 疲れる前に、最初に撮っちゃいます。
皆)みんなで「かわいいねー」ってよいしょよいしょ!盛り上げてね。
山)デリケートなので、あんまりみんなで囲んだり、見過ぎたりしないよう気も使って。
蜂)すごく泣いちゃった子もいましたね。
皆)動画を見せてもお菓子をあげても何してもダメで。「プ〇キュアで何が好き~?」とか話しかけながら一瞬の笑顔をカメラマンさんに狙ってもらいつつ、自分でも同時に手持ちのカメラで撮ったりして、何とか撮影できました。
毎日がフルスロットルのタイムレース!
―お子さんの撮影の話を伺いましたが…皆さんも自分のお子さんのことで、思い通りにならないこともあったりしますか? 仕事と育児の両立はやっぱり大変?
皆)頭の中で常にF1のテーマソングが駆け巡ってますね。
―え?どういうこと(笑)
皆)常にタイムレース。時間との闘い。はいご飯、はい着替え、何分までにこれをする!…の繰り返し。何分になった、はいもうご飯おしまい!みたいな感じで…
―夕飯の支度はどうしていますか?
皆)下の子(2歳)は夕方保育園から帰ってきたら「ママ、ママ…」とずっと離れないんです。そうなるのが分かっているので、夕飯は前日の夜に仕込んでおきます。
山)えらいねー! うちはパンとかカステラを食べておいてもらって、夕飯は8時みたいな …(笑)
蜂)うちも子どもに「ママ今日お味噌汁だけなのー?」って言われて「今作ってるから待ってて―!」とかよくある。
鈴) できた順番にどんどん出していく。はいこれ!はい次これ!コース料理みたいに(笑)
―大変だ~。そりゃF1のBGMが脳内をリフレインするわけだ…。
そうなってくると仕事する時間も限られるじゃないですか。限られた時間内でタスクをこなすために心がけていることなどありますか?
山)まりな(皆川さん)は「家に帰ったらいったんパソコンを閉じる」って決めているのが本当に偉いと思う。ずるずると仕事を続けないで、きちんと子どもと向き合うっていう姿勢、最近自分はできていなかったので見習いたいな。
鈴)本当に。一番年下だけどちゃんとしてる。
山)仕事とは関係なく、母親として互いに子育ての悩みを相談できるのも、このチームのいいところだよね。はっちゃん(蜂谷さん)は育児と仕事の両立で工夫していることある?
蜂)私は「明日もし子どもが病気で休んだら」ということを結構考えてしまいます。その日のタスクが終わったとしても、子どもの様子がちょっとおかしいと感じたときは、前倒しして明日の分も進めたりします。万が一不安が的中した場合、明日の自分が平和な気持ちで仕事ができるように。
―さまざまな想定のもと、こうなったらこうしようみたいなことを常に考えている感じなんですね。
皆)子どもの病気でどうしても休まなきゃいけないっていう時は割り切って休むけど、その分はどこかで巻き返そうと常に思ってます。
山)そのために多少無理することもあるけど、そのぐらい「まま・ここっと」を大切に思って作っているから。
皆)そう、絶対に手を抜けないという気持ちです。
「もっと人に任せていいんだ…」14年目での気づき
―「まま・ここっと」に関わってから自分に起こった変化はありますか?
皆)育休から復帰する前は「こんなこと知らなかった」「この施設に行ってみたいな」という感じで情報に対して完全に受け身だったんですけど、今は「他者が見ても面白い」と思えるものを見つけるアンテナが1本立ったようです。
―完全に「中の人」になったんですね!
皆)「まま・ここっと」のインスタグラムも担当しているのですが、土日に家族で出かけたときも、「あ、これインスタのネタになりそう!」と思ったらすぐ動画を回すようになりました(笑)
鈴)私は営業支社長をしていた時代と比べて、人に仕事を任せられるようになりました。部下を信用してなかったわけじゃないんですけど、自分が少しコントロールしてあげた方がうまくいくかもしれないと思って口出ししたり、最後まで自分が手放さない仕事もたくさんあった。管理者としては良くないことだと思いつつも、つい…。でも「まま・ここっと」チームに関しては正直、「すみません。そこは〇〇さんに任せちゃってます」みたいなことが増えてきた。
―結果として良い仕事をしてくれるから「あ、任せていいんだ」という心境に?
鈴)ですね。メンバーの方からも「私これやります」と自ら言ってきてくれるし。「なるほど、仕事ってこういうふうに分担していくんだ」ということが社会人14年目にしてようやく分かってきました。
子育てする全ての人を「誰一人取り残さない」情報誌を作りたい
―「まま・ここっと」自体については、変化などありますか?
山)最近は、特定のテーマに沿って数多くの施設などを紹介する企画が好評です。「数多く」というのがポイント。読者アンケートを見ると、みんなすごく情報を欲しているんだなというのが分かるんですよ。それからママは時間がないからすぐにできるものがいいみたい。限られた時間や予算の中でも「子どものために何かしてあげたい」という愛を感じます。
鈴)家庭環境が違っても、子どもの前ではみんな同じ思いなはず。「まま・ここっと」では、お金をかけて楽しむような企画やパパママそろっての参加が前提の企画より、保護者と子どもが1組いるだけで成立する、手軽でお金のかからない感動体験の紹介を心がけています。
お届け方法も、幼稚園や保育園で配布してもらったり、児童館など無料で利用できる公共施設などに置いてもらったりしているので、簡単に手に入る。育児中の保護者の皆さん誰一人取り残すことなく、気持ちに寄り添って情報をお届けしたいんです。
―「虐待のない世の中を創る」というのが「まま・ここっと」の発行目的だそうですね。「虐待」という強い言葉にちょっとドキッとしたのですが、こちらの真意を教えてください。
鈴)自分自身、娘が6歳になって最近ようやく子育てを楽しめる瞬間も出てきましたが、3歳頃までの記憶は全くないぐらい、毎日とにかくがむしゃらにこなしていました。そんなふうに日々時間に追われて余裕をなくしている方も多いと思うんです。そんな生活の中でホッと一息つけるような、子育てが楽しくなる情報を発信することで、子どもたちがたくさんの愛情に育まれてほしい!そんな思いを込めました。
―今後の夢を教えてください。
鈴)読んでくれる人たちに、情報だけでなく、いろいろなものを還元していきたい。例えば体験イベント。
山)創刊の頃に話してましたね。田んぼを買って、子どもたちが収穫体験できるリアルな場所を作りたいねって。
皆)イベントはやっていきたいですね、リアルでもオンラインでも。広告のお客様にもご協力いただいて、ウェビナーやインスタライブにも力を入れていきたいです。
皆)手前みそになりますが、これだけの情報量があって、全て各市の保育課さんに配布を正式に認可してもらっている 、そんな媒体ないですよね。いつか「育児冊子といえば『まま・ここっと』」というぐらい、千葉県のママパパみんなが当たり前に知っている存在になったらいいなって思います。
鈴)「児童虐待をなくす」という目的達成のためには、冊子発行以外にもいろんな方法があっていいと思うんです。まずは「まま・ここっと」が認知されて、「これを作っている人たちは面白いことをやってるな、子育てする人の味方なんだな」と思ってもらえるように。皆さんから期待されるような編集部になりたいと思っています。
―ありがとうございました。春号も楽しみにしています!
「まま・ここっと」今後の予定
■4月8日 2024年春号発行
「まま・ここっと」公式Instagram/ @mamacoco_chiba
■インスタライブ
・2024年5月8日(水)12時~12時30分
「多言語学習って何?」
(ゲスト/ヒッポファミリークラブ東葛 岡田さん)
・2024年5月15日(水)13時~13時30分
「子どもの歯磨きのコツ・ハブラシの選び方」
(ゲスト/松戸アデル歯科 伊藤さん)
・2024年5月22日(水)12時~12時30分
「子育て世代が気になる間取り」
(ゲスト/大金興業株式会社 大野さん)
このnoteを書いた人:編集部 古谷理恵子(R)(X※旧Twitter / Web記事 )
▼こちらの記事もおすすめ
この記事が参加している募集
最後までお読みいただき、ありがとうございます🌱 ▼「ちいき新聞」の記事はチイコミ!でも読めます https://chiicomi.com/press/ ▼Twitterもやってます♩ https://twitter.com/chiikishinbun