春と眠と男と女
3:00 pm
雨上がりの空は眩しくて
どこまでも青い。
ふわふわ
遠くでウグイスの声が聞こえる。
春の気配がとても心地良い。
頭の後ろで声がした。
「人間の匂いが恋しくなるんだよね」
あの人が発した“にんげん”って言葉が
なんだかとても面白くて。
「わたし、人間の匂いする?」
「する。」
あ、わたし人間でよかったな。
などとうっすら思った。
それから
「きっと独りでいるから、
人恋しいってことなんだろう」
「また嗅がせてくれればいい」
そんな風にも言ったと思う。
ただただわたしは
春が
とても恋しい。
おしまい。
お気持ちを大切にします。