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ミュージカル next to normal
12/25にシアタークリエにて next to normal を観劇。
双極性障害をテーマにした作品だということしか知らずに観に行ったので、ちゃんと理解できるか不安だった。しかし、基本的には問題なく楽しめたし、今まで観たミュージカルの中で3本の指に入る作品だった。(あとの2作はジーザス・クライスト=スーパースター エルサレム・バージョンとSuffs)
曲がとにかくいいから、観ていて飽きない。開演の前のオーケストラのチューニングの音ですでにワクワクしてしまった。そして始まるロックな舞台は観客の心を掴む。6人の演者と6人の演奏家だけで創っているとは思えない迫力。すばらしかった。私の耳に一番残ったのは"Hey"だった。ヘンリーの柔らかい歌声がとても心地よかったし、ナタリーとの少しぎこちない掛け合いがうまく音楽に現れて好きだった。"I'm Alive"もよかった。でも音響がおかしいのかよくわからなかったけど、舞台全体を通して、ところどころ歌詞が聞き取りにくいパートがあったのは残念。
曲はもちろん、個人的には照明と舞台セットが刺さった。家の骨組みだけのシンプルな舞台セットだが、回転することで、複雑さが増す。照明と組み合わさると、家の骨組みが生み出す影が色々な表情を見せてくれて面白かった。感情によって変わる赤と青の照明。赤と青、紫、さまざまな濃淡で表現された衣装が印象的だった。
普通とは何か。精神病とは何か。普通になろうとするあまり、普通じゃなくなってしまう家族。私たちはみんな、どこか普通ではなくて、それが普通なのかもしれない。
すばらしい作品だったので、終演後にパンフレットを購入。パンフレットには精神薬等の用語解説が載っていたが、観劇前に知りたかったと思ってしまったし、これを有料にするのはなと思ってしまった。劇の理解に必要な情報は有料にせず、ホームページに情報を載せるなり、用語リストを観客に手渡すべきなのではないか。現代社会の問題を描いている作品なのに、一般の人が理解できるような環境を作ろうとしていないのはどうなのかと思ってしまった。ちなみに私の愛するミュージカル、Suffsはホームページにてアメリカの女性参政運動家たちの歴史を丁寧に解説してくれている。パンフレットでは劇の表面的な理解の手助けよりも、より深いところの理解の手助けをしてほしい。