ブランディングの誤った“常識”と正しい“常識”(「ブランディング22の法則」ブックレビュー)
昨今、マーケティングという言葉が様々な場所で使われています。
例えば、広告やPR、プロダクト開発、カスタマーサクセスなど。むしろ、マーケティングとは無縁だというビジネス領域を見つける方が難しいかもしれません。
マーケティングはツールです。本質は、社会やユーザーにブランドを示すにあたって、どのようにマーケティング(ツール)を使うか。その際、ツール自体がどれだけ優れていても、ブランディング(ブランドの在り方)が(意図せずして)誤っていては、無駄にするリソースは計り知れないものになります。
5つの法則(収縮の法則/言葉の法則/カテゴリーの法則/名前の法則/)
「ブランディング22の法則」の著者であり著名なマーケティング戦略家でもあるアル・ライズ氏は、効果的なブランディングには22の法則が存在すると提示します。
中でも、個人的に特に響いた以下の5つの法則を紹介します。
■収縮の法則
焦点を絞り込むことがブランドを強くする。
成功したければ、成功者が今やっていること(拡張)をやるのではない。成功者が成功するためにやったこと(焦点の絞り込み)をやらなければならない。
■言葉の法則
ブランドを築くなら特定の一つの言葉を“所有”する必要がある。その言葉はそれ以前に誰も“所有”していない言葉でなければならない。
例えば「モンブラン」が「高級万年筆」の代名詞であるように。
■カテゴリーの法則
ブランディングにおいて最も効果的なことは、新しいカテゴリーを創造すること。存在しないカテゴリーの中にブランドを築くには、以下の①と②を同時に実行しなければならない。
①ブランドの説明では次の言葉のうち一つ以上を必ず使う
・一番手であること
・リーダーであること
・パイオニアであること
・オリジナルであること
②新しく作ったカテゴリーそのものの売り込み
※特に②をないがしろにしてはいけない。消費者は新しいブランドに関心を持つのではない。新しいカテゴリーに関心を持つ。
■名前の法則
短くユニークでサービス(またはプロダクト)の優れた点をそれとなく示す名前が望ましい。
対照的に東アジアの名付け方はひどい。日本の「三菱」や「松下」、韓国の「現代(ヒュンダイ)」など、統一ブランドによるやみくもな製造ラインの拡張が、ブランドを棄損させている。
■一貫性の法則
ブランドの法則において最もよく破られるのがこの一貫性の法則である。
市場の変化は起こり得る。しかしブランドはその場所に留まらなければならない。一貫性が保たれた境界の維持がブランドを構築する。
ローマも一日では成らない。
ブランド構築における“常識”をアップデート
ブランド構築の“常識”として、「品質・機能主義(商品が良ければ勝てる)」や「拡張主義(ブランドの拡張がブランドを成長させる)」、「物真似主義(他社のヒットプロダクトを真似しない訳にはいかない)」などは、日本国内でも大手企業によるマーケティング施策で実例を見かけることがあると思います。(〇〇ペイなど)
本書「ブランディング22の法則」は、ともすれば一般化している上記の“常識”について、その“常識”がブランドをどのように棄損させているかを示し、読み手の“常識”の正しいアップデートを促すものです。
パーソナルブランディングからの観点
また、ブランディングの対象についてプロダクトやサービスの文脈で語られることは多いですが、個人も同様に考えられるものではないでしょうか。
現職は「ブランディングやマーケティングとの関わりがない」という方も、自身のブランディング、マーケティングという観点から考えてみると、面白いと思います。
今の時代は「チームの時代」と呼ばれて久しいものがありますが、その前提として「個の時代」でもあります。組織にとらわれず個人が持ち運びできる資産を増やしていくために、このnoteが参考になれば嬉しいです。
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