忘れもしない〜24歳差の彼〜

不安を抱きながらも
一人で検査をした。

ありえないと思っていた
結果が出てしまった。

頭の中が真っ白になった。

彼の言葉を信じた未熟な自分を恨んだ。

「人生で一度も妊娠させた事がない。」

泣きながら
彼に無意識に電話していた。

いつもノーテンキな性格の彼が、
すごくびっくりした様子だった。

喜ぶことも出来ない関係。

どうするか任せると言われたが、
私の答えは堕すことしか頭になかった。

悔しい。

きっとお互いフリーで
年齢が近かったら普通に結婚して
普通に家族として一緒にいただろう。

彼の顔を潰すことはしたくなかった。

私のエゴで産むことは
許されないような、そんな気がした。

何より産むという覚悟がなかった。
怖かった。

次の日産婦人科に行くことに。

彼はついていくと言ってくれたが、
職場から近かったため、
どこで誰が見ているか分からないから
私は一人で行かせて欲しいと言った。

病院にはきっとこれから出産を
ひかえているであろうお母さんたちが
沢山いた。

自分を責めたくなった。

「妊娠してますね。」

私の顔を見るなり先生も察してくれたのか、
「どうされますか?」

私「おろします。。。」

先生「おろすなら同意書に相手の署名もお願いします。」

「手術は早い方がいいです。」

帰って彼に電話。

終始優しかった。

3日後。もう一度病院に行き、
手術日は一週間後に決まった。

この一週間は私にとって
とても辛い日々だった。

すごく長く感じた。

職場ではいつもと同じ顔で
いないといけない。

少し悪阻のような症状が出始めていた。

いつも通りの明るい彼を見ると
苛立ちが出ていた。

無意識に彼に酷いことを言っていた。

それでも彼は優しかった。

こんなに私の喜怒哀楽を全て
受け止めてくれた人はいない。

手術当日。
一人で病院へ向かった。

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