海外駐在後のキャリアの選択肢を考えてみた
海海外駐在が終わったら何を目指そう?
昔から海外駐在とは
幹部候補への登竜門、管理職になる為の準備ステップ として位置付け。
駐在任期を終えて、帰任し暫くしたら昇進と言うのが定番コース。
少なくとも私はそう思っていたし、それ以外のキャリアを考えた事はなかった。
終身雇用制度が崩れ多様性に富む昨今では、定番コース以外の道を模索する人も増えているし
実際道も色々ある。私自身もそうだし、周りでもそういう話を聞く事も増えた。
今はこう書くが、私が駐在後の定番以外の道を考え、選択するまで、葛藤や迷いがあり、結構長い時間がかかった。
以前の私と同じように当初予定通りに帰任したくない方、駐在後のキャリアに悩む方のご参考になればと思い、私自身が海外駐在後のキャリアを考える上で今まで知ったこと、経験したことを纏めてみる。
任期後のキャリアの選択肢
駐在後のキャリアはどんな選択肢があり得るだろう。
私が考えるに大きく分けると任期後の選択肢は
①任期で帰任②駐在任期の延長③赴任先で現地採用④日本に戻って転職⑤海外で転職⑥フリーランス転向、起業
以下でもう少し具体的に見てみる
①任期で帰任
一番の定番。社命で赴任しているから日本に帰り、住み始めるまで会社が面倒を見てくれる。手続き、引越し等すべて会社が面倒を見てくれるので一番楽で確実。
但しタイミングは自分の都合よりは会社の都合優先のところが多い。会社が決めた帰任先に帰任する人もいればどうしてもトラック変更したい!と赴任中から根回しして希望の帰任先に行く人も。その辺りは自分の交渉力、根回し力+運次第。
今の会社で目指すキャリアが描ける人、暫く頑張りたい人で、もう帰ってもいいな、と言う人は任期で帰るのが一番おすすめ。そもそも任期が来たら帰任するのが駐在でその前提で人事ローテーションやサポートの仕組みが作られている為それ以外の選択肢を取ると面倒なことも出てくる。
②駐在任期の延長
赴任先でやり残したことがある、もう少し赴任先で仕事、生活を継続したい、と思った場合、自分都合で延長交渉するという選択肢もある。
逆に後任が決まらない、業務的に引き継げないタイミング等会社都合で延長と言う場合もある。任期延長の場合、駐在パッケージが継続されるので、待遇が良い状態が続く。
数か月、1-2年延長したい場合は任期の延長が適している。但し①でも書いた通り、帰任が前提の駐在では延長しても必ず終わりは来るので今後長期で赴任先にいたいのであれば延長は向いていない(と私は思う)。
尚駐在はコスト大のため、自己都合の延長は中々難しい。自己都合をうまく会社のニーズと合わせて会社都合の理由を作り延長、という形に持っていければベスト。交渉力、根回し力がものをいう世界。
③赴任先で現地採用
日本に戻りたくない、現地に暫く残りたいとなった場合の選択肢としてあるのが赴任先での現地採用として働く選択肢だ。駐在時と同じ地域に住み、人も仕組みも勝手知ったる組織で働くから仕事面での変化は少ない。任期もないから長く滞在し働きたい人には向いている
ただし駐在と違うのは待遇が悪くなること。住宅、保険、子女教育の手当はなく、手続き面のサポートもなく現地社員と同じ扱い(VISA申請や医療通訳のサポートも受けられない)
また今までは日本の本社に属していたからこそのポジション、発言力や得られた情報も現地社員になることで得られなくなる。また後任が予定されている場合、現地採用として受け入れ不要の場合もあり、その辺りは後任人事も含めて赴任先組織の上の人と早い段階から話しておきたい。人によっては待遇悪くなったのに仕事は変わらないという話も聞く。基本海外は待遇も交渉なので、切り替える際に交渉で好待遇勝ち取ればベスト。
ちなみに駐在期間中に現地で不可欠な戦力となり、会社に請われる形で現地採用した人の話を以前聞いたことがある。そこまで貴重な存在だと待遇の交渉もしやすい。(結果彼は駐在にほぼ近い待遇で現地採用になった) かなり珍しいケースだが、もしあなたが駐在先にとって不可欠な戦力になっていて残留を希望する場合はこういう形に持っていければ現地採用時の一番の懸念事項の待遇の悪化を最小化できる可能性がある。
④日本に戻って転職
任期後、任期中に日本で転職するケース。
肌感覚だが、最近増えている印象。海外で得た知識、経験、スキルをもって、日本でキャリアアップする。今や求人検索も面接もオンラインだから駐在中に日本の企業に転職活動する方もいる。
海外駐在前提の他社に転職し、別会社で駐在した例も聞く。
手続きや帰任時期と転職時期のタイミングが難しいが、日本に戻れるのでVISA等の問題もない。①‐③と違い、会社から出てしまうので、会社にとってはコスト面、人事ローテーション面で大きな痛手。
⑤海外で転職
赴任先もしくは別の国で転職するケース。外国人として職探しをするので言語や人脈でハンデはある。またVISAの問題もあるので、同じ駐在から転職でも④よりはハードルが高い。転職先が日系企業でなければ報酬面で③より良いケースも多い。手当や手続き面のサポートはほぼないと考えた方がいい。また顧客か仕入れ先に日本企業がいない限り日本語が話せる利点はないし、企業文化も日本企業のものとは大きく違うことが多いので慣れるまでは苦労が多い。ここが駐在との一番大きな違い。自分の力量でのみ勝負していくので、ついていければ成長幅も大きい。
海外に長く残りたい、チャレンジしたい人向け。
尚、海外駐在中は日本より上のポジションを貰える事が多いので、駐在時のポジションを利用すると比較的好待遇で転職しやすい。
ちなみに私はこのケース。一度目の駐在後帰任した経験から一度戻るとまた海外に出るのは非常に困難(物理的にも心理的にも)と理解しているので帰る前に残留を決めたかった。また海外でチャレンジしたいと思っていたので最終的に転職を選んだ。
⑥フリーランス転向、起業
これは非常にまれなケースだが、一応ご紹介。
結婚などでフリーランスでも働けるVISAを持っている場合やフリーランスVISAが取りやすい国住んでいる場合なら可能性ある。すでに 起業しているか、パートナーの収入で生活できる場合を除き駐在からいきなり起業は収入の安定と言う面でハードル高い。私も最初これを目指したが、VISA,税金、収入、社会保障の面から転職に方向転換した。もし駐在から残留し将来海外で起業、を考えたいのであれば転職して、副業で起業した方がよいと思う。但し外国人であるため色々制限がある。VISAや税金等は事前に調べた方がいい。
駐在任期後のキャリアの選択で注意したいこと
③-⑥の選択肢を取る場合、少し注意が必要となる。
よく知られている通り海外駐在は非常にコストがかかるので辞められる前提では駐在は出さず帰任後の期待があり、強い慰留を受ける場合もある。出向契約の内容次第ではペナルティが課される場合もあるかもしれないし、後任の準備が間に合わない、退職交渉が長引く等も考えられる。
もしあなたが③-⑥の方向を考える場合、身近な経験者がいれば話を聞いておくと、そうなった時の状況に備えて置くことができるかもしれない。
また⑥-⑦の場合で、非居住者のままで退職する場合は税金、年金等の手続きが居住者の場合より煩雑になる為、予め調べ、準備を進めておいた方がいい。
まとめ
海外駐在後というのは、大きな変化の時。海外勤務で培った視野、経験、スキルをベースに新たな挑戦をすることも可能で、様々な意味で海外駐在後が一番キャリア変更しやすい時期だと経験上私は思っている。勿論、これまでのキャリア、人生設計の延長線を走り続けることもできる。
自分のキャリアへの考え方、家族の状況、将来設計等を考え、これからどうしていくかを考え、納得できる選択肢を選択するのも一つの方法だ。上記だけでも駐在後のキャリアの選択肢はいくつかあるし、それ以外もあると思われる。キャリア、人生設計を変更を考え始めたら、メリットデメリットを理解しながら、検討し、実際動いてみるともっと具体的に可能性が見えてくると思う。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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