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Kölner Oper 17.09.23 オペラの記録:ケルン・オペラ、R.シュトラウス《影のない女》プレミエ(9月17日)

9月17日、ケルン・オペラで23/24シーズン最初のプレミエ、R.シュトラウス《影のない女》初日公演を観ました。

ケルン・オペラは劇場改修のため、代替のシュターテンハウスで公演を続けています。改修はもう10年になり、いつできるのか・・・ケルン大聖堂のように永久に終わらないのではないか、とさえ揶揄されています。

というわけで、通常の劇場とは違うため、今回も向かって右側にオーケストラ、左側にステージが配されていました。
客席にはオーケストラの後方から入るので、冒頭の写真が撮れました。

プログラム。

《影のない女》は演出も演奏もとても困難な作品です。
それにR.シュトラウス独特の響きをつくるのは良いオペラ劇場でもとりわけ難しい。
オペラ劇場ではないシュターテンハウスでは、演出と美術はかえって自由なファンタジーが駆使できるものの、響きについては正直言って全く期待していませんでした。
それにケルン・オペラ専属のオーケストラであるギュルツェニヒ管は決してR.シュトラウス作品の演奏がうまいわけではないと思っています。
加えて、おそらく世界一R.シュトラウス作品の演奏に長けているバイエルン州立管(ミュンヘンのバイエルン州立オペラの専属オーケストラ)の響きに慣れていると、物足りないのはしょうがない、と思っていました。

ところが・・・・この日の演奏が驚くほど素晴らしい!!
ギュルツェニヒ管の演奏はオペラもコンサートも三桁回数経験しましたが、こんな演奏ができるとは、初めての経験と言って過言ではありませんでした。
批評家や音楽学者など何人か休憩や終演後話しましたが、みんな驚いていました。

これはひとえに指揮のマルク・アルブレヒトの業績でしょう。

ちなみに、アルブレヒトは読売日本交響楽団のシェフだったゲルト・アルブレヒトとは無関係です。

マルクは、いわゆる『銀の匙をくわえて生まれてきた』出自です。
父親は指揮者のゲオルゲ・アレクサンダー・アルブレヒトで、ゲオルゲ・アレクサンダーの兄はニーダーザクセン州の首相を務めたエルンスト・アルブレヒトです。
このエルンスト・アルブレヒトの娘が、現在EU委員会委員長のウルスラ・フォン・デア・ライエンです。つまりマルクのいとこです。
ちなみにフォン・デア・ライエンは政治家になる前は医師でした。
彼女とマルクの祖父も高名な医師でした。

とまぁ、名家の出身ですが、特にそのことは一般には知られていないかもしれません。

マルクは指揮者として90年代に頭角を表しましたが、今世紀に入ってからフランスのシュトラスブール、オランダのアムステルダムのシェフを務めていたため、なんとなくドイツのオペラ界の中心にいなかったという印象があります。

ところで、ドイツのオペラやオーケストラは公で運営されており、その活動において人種・国籍を問いません。そのため、世界中から優秀な音楽家が集まっており、音楽家にとってその競争は熾烈なものになっています。それが水準を高める大きな理由でもあります。

ドイツの劇場やオーケストラの首席指揮者に、ドイツ人、あるいはドイツ出身者がどれほどいるか・・・

マルク・アルブレヒト、現在59歳。
今後も良い仕事を続けてほしいものです。

上演後、オーケストラを讃えるアルブレヒト。

フォワイエで行われたプレミエ・パーティーで拍手を受けるアルブレヒト(中央から左寄りの茶色のジャケット)。
右から五人目、マイクを持って前列にいるのはインテンダントのハイン・ムルダース(オランダ出身)。

FOTO:©️Kishi

以下は劇場から提供されたステージ写真です。© Oper Köln_Matthias Jung

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